老後生活のベースとなる公的年金。収入を得る手段が限られる高齢者にとっては、1円でも多く手にしたいところ。しかし「年金が減額」という思ってもいない事態に直面することも。みていきましょう。
月17万円だったが…「年金、減らします」「えっ、困ります」手取り21万円・66歳サラリーマンが手にする唖然の「年金月額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

働き続けながら年金を受け取る…年金減額・停止に注意

国民年金の減額は、保険料の免除や猶予制度の利用だったり、そもそも保険料が未納状態だったりというのが原因のことがほとんど。一方、厚生年金の場合は「働きすぎ」が理由のひとつ。

 

60歳以上の人が厚生年金に加入、つまり働きながら手にする年金を「在職老齢年金」といいます。給与に加えて年金も手にできて、二重に嬉しいというわけです。ただし、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えると、年金は減額、または支給が停止されます。

 

在職老齢年金による調整後の年金支給月額は

 

「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2」

 

で求めることができます。

 

たとえば平均の年金額を手にする66歳のサラリーマンがいたとしましょう。厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、60代後半の月収(所定内給与額)は27.4万円、手取りにすると21万~22万円ほど。賞与等が4~5ヵ月分あったとすると、年金は月1万円ほど減額となる計算。平均通りの年金受取額で、平均通りの給与額を手にするサラリーマンの場合、「働きながら年金を受け取る」を選択すると、「年金減額」を覚悟しなければならない、ということになります。

 

昨今の物価高騰。日々の生活が圧迫されています。「生活のために……」と頑張って収入を増やそうとすると、一方で「年金減額」という事態に直面するケースは珍しくないのです。

 

――頑張って収入はアップしたのに年金はダウン

 

年金減額のボーダーライン付近だと、そんな「せっかく働いたのに……」という後悔が多くなりそう。そんな空しい事態にならぬよう、働き続けることを選択したなら、一度、支給の減額・停止のシミュレーションをしたうえで、年金を受け取るかどうか、検討したほうがよさそうです。