老後生活のベースとなる公的年金。収入を得る手段が限られる高齢者にとっては、1円でも多く手にしたいところ。しかし「年金が減額」という思ってもいない事態に直面することも。みていきましょう。
月17万円だったが…「年金、減らします」「えっ、困ります」手取り21万円・66歳サラリーマンが手にする唖然の「年金月額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

国民年金が予定より少ない…その理由は?

年金の受給開始の年齢は、老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに原則65歳です。老齢基礎年金は、免除期間含むいずれかの年金制度の加入期間が合算して120ヵ月、つまり10年以上になると受給することができます。老齢厚生年金は、老齢基礎年金を受け取れる人に厚生年金の加入期間がある場合、老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができます。

 

2022年度、老齢基礎年金は満額支給は年77万7,800円(月6万4,816円)。厚生労働省『令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、平均受給額は月5万6,479円なので、34.8年ほど、保険料を納めている計算です。一方、厚生年金受給者の平均年金額は、月14万5,665円。65歳以上に限ると、男性で16万9,006円、女性で10万9,261円です。

 

この年金額で足りるか足りないかはライフスタイルによるので一概にいえませんが、公的年金受給者の半数が「収入は年金のみ」という状況下、心許ないと感じている人が大多数でしょう。繰り下げ受給や国民年金の前納割引制度など、年金を増やす方法に高い関心が寄せられるのも頷けます。

 

――年金が増えた!

 

そんな歓喜の声の一方で、

 

――あれ、予定より年金が少ない

――昨年よりも、なんか、年金が少ない

 

そんな悲痛の声も。できることなら1円でもいいから多く手にしたい年金。なぜ「年金減額」などという事態が起きるのでしょうか。

 

国民年金の受取額が減る理由として考えられるのが、国民年金の「保険料免除制度」の利用。申請のうえ、承認されると、「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/4免除」のいずれかが適用されます。免除期間も老齢基礎年金の受給資格期間に含まれますが、全額免除の場合は全額納付の1/2、3/4免除の場合は全額納付の5/8、半額免除の場合は全額納付の6/8、1/4免除の場合は、額納付の7/8と、免除割合に応じて年金は減額されます。

 

また20~50歳未満の本人・配偶者の前年所得が一定額以下となり、保険料の納付を猶予してもらう「保険料納付猶予制度」も、猶予期間は受給資格期間には含まれるものの、受給額には反映されず、減額となります。さらに「学生納付特例制度」を利用した場合も、納付猶予期間は受給資格期間には含まれますが、年金は減額となります。