平均寿命から考えた貯蓄額…「長生きのリスク」に耐えられず「老後破綻」へ
もし「余裕のある老後」を本気で叶えるとしたら、貯蓄はいくら必要なのでしょうか。2021年、男性の平均寿命は81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳。65歳から年金を手にするようになってから20年強、老後を見据えて……と考えると、共働きなら2,400万円、片働きなら3,000万円が必要……ちょっと、目眩がしてくる金額です。
もちろん、これは平均寿命で考えた話。平均寿命以上に生きる人は多くいますし、何歳まで生きられるかは誰も知るよしがありません。平均寿命から考えると……で算出した貯蓄額では「長生きのリスク」には耐えられないでしょう。
また平均寿命は若くして亡くなった人たちの数値も含めたものなので、たとえば「生存率」とは若干のズレが生じます。厚生労働省『簡易生命表』によると、男性の生存率は27歳まで99%台。62歳で90%を割り込み、原則、年金を手にするようになる65歳では生存率86.75%。平均寿命である81歳の生存率は51.85%で、82歳で50%を割り込みます。平均寿命を過ぎても、半数の人は人生が続いていくわけです。以降は死亡率の増え方が急になり、90歳の生存率は16.72%。それでも6人に1人は存命です。100歳の生存率は1.41%。100人に1人は人生100年を迎えます(関連記事:『【早見表】年齢別「生存率」0~100歳…<令和3年 簡易生命表>』)。
女性の場合はさらに生存率は高く、65歳で93.27%と、90%を超えています。男性の平均寿命である81歳でも73.79%。男性の平均寿命を前提に資産形成を進めていくと大変なことが起きます。女性の平均寿命である87歳では52.55%、90歳では38.06%と、4割弱が90代を迎えます。そして100歳の生存率は8.84%。20人に1人という水準です。
こうしてみていくと、特に女性の場合、「人生100年時代」というのは言い過ぎではなく、老後35年は見据えたほうが安心だといえるでしょう。つまり「余裕のある老後」を叶えるなら、共働きなら4,200万円、片働きなら5,000万円強が必要となると捉えるのが妥当です。
もちろん年を重ねると消費は減るもの。余裕のある老後を叶えたいとはいえ、単純計算ほどの貯蓄は必要ないかもしれません。ただ「貯蓄は減っていく」が前提のなか、「いくら貯蓄があっても足りない」、というのが真実だといえるかもしれません。