異次元の少子化、賃上げ……よく耳にする2つのワード。どのような着地を迎えるが注目ですが、どちらの議論でも対象外なのが、40~50代の氷河期世代。彼らの嘆きに耳を傾けてみましょう。
人生、狂わされた…月収26万円「氷河期世代の40代非正規」もう用済みで賃上げも対象外「またハブかれた」と怒り (※写真はイメージです/PIXTA)

仕方なく非正規の氷河期世代…同年代の正社員とは200万円以上の年収差

――異次元の少子化対策

 

良し悪しは別として、すでに今年の流行語になりそうなフレーズ。まだ検討段階ではありますが、徐々に議論の中身が見えてくるに従い、「これで本当に異次元と言えるのか」という批判が高まっています。どのような内容に落ち着くかは別として、多かれ少なかれ、子育て世代には何かしらのメリットがあるのではないか、と期待が寄せられています。ただ浮かない顔の人たちも。

 

――またハブかれた

 

そう肩を落とすのは、40~50代、いわゆる「氷河期世代」と呼ばれる人たち。就職氷河期は、バブル崩壊後の1993年から2005年の学卒者を指す場合が多く、留年や浪人等がなければ、高卒で今年38歳から49歳、大卒で今年41歳から53歳になります。

 

就職氷河期は「超買い手市場」。有効求人倍率は1.0を下回り、「大学を卒業したけれど職なし……」というケースも。希望業種・職種での就職を叶わず、フリーターや派遣などの非正規雇用で社会人をスタートした人も多くいました。

 

2000年代も中ごろになると雇用環境も改善。しかし既卒で非正社員の転職は不利で、希望してもなかなか正社員になれない……そうこうしているうちに、40代、50代に達してしまった、という人も大勢います。昨今、望まずに非正規のままでいる氷河期世代に対して、就労支援が行われるようになりましたが、キャリアに劣る人たちを採用する企業は少数派。うまくいっているとは言い難い状況で、時すでに遅し、という声があがっています。

 

氷河期世代内の格差も大きく、たとえば同じ大卒男性の平均給与を比べてみれば、正社員・40代後半で月39.1万円、年収で642.8万円。一方、非正規は月26.5万円、年収で365.5万円。1ヵ月に12.6万円、1年で277.3万円もの給与差が存在しています。

 

【非正規と正社員の給与差】

20~24歳:21.3万円・282.6万円/ 21.8万円・340.1万円

25~29歳:24.6万円・357.0万円/ 25.7万円・428.5万円

30~34歳:24.9万円・358.6万円/ 29.6万円・498.8万円

35~39歳:25.9万円・359.9万円/ 33.3万円・560.3万円

40~44歳:26.1万円・364.1万円/ 36.5万円・606.0万円

45~49歳:26.5万円・365.5万円/ 39.1万円・642.8万円

50~54歳:34.3万円・463.4万円/ 42.3万円・692.7万円

55~59歳:30.7万円・418.8万円/ 42.9万円・694.9万円

 

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より

※数値は大卒・男性・従業員10以上。左より非正規の所定内月給与額・年収/正社員の所定内給与額・年収