異次元の少子化対策として、さまざまな議論をしている最中ですが、少々冷ややかな目で見ている人たちが……それは、高所得者の会社員。これまで支援の対象外になることが多く、今回の議論も懐疑的に見ているようです。そんな人たちからはフランスのように「N分N乗方式」なら、という声も。みていきましょう。
年収1,200万円の勝ち組サラリーマンが悶絶する「衝撃の手取り額」…フランスのように「N分N乗方式」だったなら (※写真はイメージです/PIXTA)

年収1,200万円だったが…手元に残るのはたったこれだけ

――国がやらないなら東京がやる

そういったのは、小池百合子東京都知事。地域間格差を考慮して、18歳以下の都民に1人あたり月5,000円程度、年間6万円程度の支援を行うなどの方針を明らかにしました。

 

ここで歓喜の声をあげたのが、高所得サラリーマン。この月5,000円の支援、「所得制限なし」というもので、それに対して「小池さん、分かっている!」と好感触を示したのでした。

 

――高所得なのに、月5,000円の支援で歓喜って

 

そう思うかもしれませんが、この日本において、子持ちの高所得者は冷たいもの。たとえば中学生までの子どもがいる世帯に対して現金給付を行う「児童手当」。子ども1人につき、3歳未満には月額15,000円、3歳以上から中学生までには月額10,000円が支給されます(第3子以降は3歳から小学校修了まで月額15,000円に引上げ)。しかし、所得制限があり、子ども2人の専業主婦世帯の場合、年収960万円を上回る場合は特例給付の対象となり、支給額は子ども1人につき月額一律5,000円に。さらに2022年10月からは年収1,200万円を上回る世帯の特別給付は廃止となり、約60万人、全体の4%に当たる人たちが対象となったといわれています。

 

確かに、余裕のある富裕層であれば、月々5,000円程度のお金をもらっても、と思うかもしれませんが、年収1,200万円程度だと、想像ほど家計に余裕がないという声を多く聞くでしょう。しかし、子どもは中学から私立に、住まいは都心近くのレジデンスなどと、平均的な世帯よりも教育費や住居費にコストがかかる傾向にあり、近所づきあいもそれなりに。「そんなもの、節約すれば」とも言いたくなるでしょうが、高所得者層には高所得者層にふさわしい生活水準があり、それを維持するのに、まったく余裕などない、という状況。「少しでも支援してくれるなら、嬉しい限り」というのが本音です。

 

さらに税金面でも、高所得者層には不満が蓄積。所得税の税率は「1,000~194.9万円」は5%、「195万~329.9万円」は10%、「330万~694.9万円」は20%、「695万~899.9万円」は23%。さらに「900万~1,799.9万円」は33%、「1,800万~3999.9万円」になると40%、それ以上で45%にもなります。

 

たとえば、年収1,200万円、周りからも「勝ち組」と称されるサラリーマンの場合の所得税額は以下の通り。

 

1,200万円×0.33-153.6万円(控除額)=242.4万円

 

税率33%……思わず「たかっ!」と悶絶してしまいそうになりますが、さらに保険料なども引かれて、手元に残るのは850万円程度。それでも平均的な会社員世帯に比べたら十分かもしれませんが、高所得サラリーマンからしたら「子どもを1人育てるだけで、家計に余裕はない」というのが本音ではないでしょうか。