日本人の平均寿命は延びる一方。それに合わせて、希望すれば高齢になっても働き続けられる環境が整いつつあります。しかし本音をいえば「できるだけ早く、会社からは解放されたい!」。そんな会社員の夢を叶えるためには、いくらあればいいのでしょうか。考えていきます。
「こんな会社、辞めてやる!」30代・40代・50代で早期退職を実現…収入ゼロでも暮らしていける「貯蓄額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化と共に「長く働く」環境は整いつつあるが…

人生100年時代。会社員にとって問題は「いつまで働くか……」ということかもしれません。

 

超高齢化社会、延び続ける平均寿命、色々考えると、長生きすればするほど、お金が足りなくなってしまうのではないか。70歳になろうが、80歳になろうが、働けるうちは働いていたほうが得策なのではないか、と考えるのも無理はありません。

 

そのような世論を反映して(それだけではないでしょうが)、定年年齢は引き上げの傾向にあります。高齢者雇用安定法により、従業員の定年を定める場合、定年年齢は60歳以上とする必要があります。

 

また法改正により、定年年齢を65歳未満に定めている企業は、65歳までの安定した雇用を確保するため、「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置を取る必要があります。

 

そしてさらなる法改正により、定年年齢を65歳以上70歳未満に定めている企業や、継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を導入している企業は、「①70歳まで定年年齢を引き上げ」「②70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入(他の事業主によるものを含む)」「③定年制を廃止」「④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」「⑤70歳まで継続的に『a.事業主が自ら実施する社会貢献事業』『b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業』に従事できる制度の導入」のいずれかの措置を講じる努力があるとされています。

 

東京都が中小企業を対象に行った『中小企業の賃金・退職金事情(令和4版)』によると、定年制度導入企業は86.7%。そのうち60歳定年とするのが71.2%。さらに定年年齢を60~65歳の間で設定している企業は97.2%になります。また70歳を定年としている企業は1.6%でした。

 

定年後の継続雇用制度としては、「再雇用制度」を採用している企業が79.0%、「勤務延長制度」を採用している企業が9.3%。どちらも併用している企業が3.7%。そもそも継続雇用制度を採用していない企業が8.0%でした。再雇用制度における最長雇用年齢は、65歳が69.1%と最多。さらに70歳が14.4%、75歳以上が13.7%。

 

このようにみていくと、企業によってバラつきはあるものの、長く働きたいなら働き続けられるという環境が整いつつあるといえるでしょう。