2023年4月から…会社員の天引き額、さらに増加
実際にどれだけ引かれるのか、たとえば、大卒のサラリーマンの平均値(平均年齢42.1歳、平均勤続年数13.5年)で考えてみましょう。就業値は東京都、扶養人数は1名とします。厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、基本給(所定内給与)は平均39万4,400円。残業代等は月平均3万1,000円ほど。
そんな給与のサラリーマンの月々の厚生年金保険料は4万0,260円、雇用保険料は2,127円、所得税は7,840円、健康保険料は21,582円、介護保険料は3,608円となり、控除額は合計7万5,417円。さらに居住地によって住民税が引かれます。たとえば東京都八王子市在住だとすると、月3万6,000円ほど。そうなると手取り額は31万3,000円ほどに。
残業代込みの額面が42万5,000円ほどだったのに、それが色々と合わさり、10万円以上も引かれるわけです。もちろんすべて必要なものなので、仕方がないことではありますが、ため息のひとつくらい出てしまいます。
そこに来て、さらに残念なニュースが。厚生労働省は雇用保険の保険料率を引き下げている措置を2022年度末で終わらせることを決めているため、2023年4月から全体の保険料率は現在の1.35%から1.55%となり、企業側は0.95%を労働者側は0.6%を負担することになります。
その負担額は、月に数百円。たったそれだけかもしれませんが、防衛費や少子化対策で増税の話ばかりを耳にする昨今。4月からのプラスαの金額よりも、負担が増えるという事実に、ただ気持ちが暗くなるばかり。賃上げのニュースもあふれていますが、多くの会社員が「自分は対象外」と感じるなかでは、希望を感じることなどできません。