教員離れが加速…こんな給与じゃ割に合わない
厚生労働省『令和3年賃金構造統計調査』によると、大卒正社員の平均給与(きまって支給する現金給与額)は月39万6,400円。若干、教員のほうが高いですが、それほどの大きな給与差ではありません。ただ教員の給与が適正化か、といえば、そうはいえないのが現状です。
問題になっているのは、教員不足。教員採用試験の倍率は下降の一途を辿り、いまや教員はなりたくない職業の代表格とさえいわれるまでに。文部科学省が国立の教員養成大学、国私立の教職大学院の就職状況をまとめた調査によると、教員就職率(すべて卒業者を母数とする)は60.1%。近年は横ばいですが、「教師になりたい」と大学に進学したにも関わらず、4割が教師にならない選択をするのは問題と言わざるをえません。
ここまで不人気になったのは、教員の過酷な労働環境が知られるようになったから。思い出されるのは、「 #教師のバトン 」プロジェクトではないでしょうか。文科省がSNSに仕事の魅力を発信してほしいと始めたものでしたが、現役教師から「教師になんてなるな」という投稿が相次ぎ、劣悪な労働環境が広く知れ渡るようになりました。
「コロナの影響で急な対応」「多すぎる雑務」「部活で潰れる休日」「私用の携帯電話に保護者からクレーム」……2016年に行われた調査では、公立小学校で3割、中学校で6割の教師が過労死ラインである月80時間を超える時間外労働を行っていたと明らかとなり、いまだ改善されていないといいます。
それにより離職者も多く、文部科学省『令和元年度学校教員統計調査』によると、離職者は公立小学校で1万6,619人、公立中学校で9,059人、公立高等学校で5,246人。離職理由が「病気」が公立小学校で661人、公立中学校で360人、高等学校で144人で、さらに「精神疾患」だったのが、公立小学校で457人で、公立中学校で360人、公立高等学校で83人と、前回調査となる3年前から増加傾向が続き、特に小学校では138%増となっています。
都道府県別にみたときに、トップでも平均手取り33万円。これでは「もう、やってられない」という教員が続出でも仕方がないでしょうか。
教員の給与を仕事に見合ったものにするか、現状の給与に見合った仕事にしていくか……改善を図らなければ、さらに深刻な事態に陥ることは明確です。