高齢者が餅を喉に詰まらせる窒息事故が毎年起きます。消費者庁の調査によると、65歳以上で「餅」を含む窒息事故による死亡者数は2019年で363人、2020年で398人で計661人に上ります。餅の窒息事故を起こさないためにはどうすればいいのでしょうか。

餅を詰まらせた場合どうすればいい?

餅をのどに詰まらせてしまった場合、周りの人はどう対処すればいいのでしょうか。

 

▶応急処置①せきこませる

まず119番通報をしたうえで、せきをできるかどうかを確認します。できる場合はせきこませて自力で吐き出させるよう促します。

 

それができない場合は、救命医師などでつくる日本蘇生協議会が出している最新のガイドラインで推奨されている2つの応急処置を行います。

 

▶応急処置②背部こう打法

一つ目は、背中を強くたたいて詰まったものを吐き出させる「背部こう打法」です。一番のポイントは、ちゅうちょせずに思いっきり相手の背中をたたくことです。

 

手順は、まず自分の手を相手のわきの下から入れて手のひらでからだをしっかり支えます。そして手のひらの付け根部分で相手の肩甲骨の間をたたきます。相手が苦しくて座っていたり横になっていたりしても同じように行います。

 

▶応急処置③腹部突き上げ法

それでも餅が出てこない場合は、「腹部突き上げ法」を行います。おなかを強く突き上げて、のどに詰まったものを吐き出させる応急処置です。

 

手順は、相手を後ろにまわり背中側から抱きかかえて自分の胸を相手の体にしっかりと密着させます。そして片方の手で握りこぶしを作り、親指を相手のへそとみぞおちの中間付近にあてます。その握りこぶしをもう片方の手で握り、斜め上の方向に引き上げます。

 

腹部突き上げ法を実施した場合は、腹部の内臓を傷める可能性があるので、救急隊にその旨を伝えるか、すみやかに医師の診察を受けさせてください。

 

餅を詰まらせない食べ方は?

餅をのどに詰まらせずに食べるにはどうすればいいのでしょうか。4つのポイントがあります。

 

①餅を小さく切る。
②食べる前に水分をとる。
③ゆっくりよくかんで食べる。
④食べるときは姿勢をよくする。


高齢になると歯が減って上手にかむことができない人も多いので、チョコレートやキャラメルのひとかけらくらいに「小さく切る」ことが事故を未然に防ぐことができます。

 

高齢になると唾液が減っていくので、食べる前に水分をとって、口の中や食道を潤しておくと滑りがよくなります。そのうえで、ゆっくりよくかんで食べるといいでしょう。

 

また、姿勢が悪い状態で飲み込むと喉に詰まりやすくなるので、食べるときは姿勢をよくするのが重要です。

 

一方、インターネット上に書き込まれている餅がのどに詰まった時に掃除機で吸い取る方法については、実際に掃除機で吸い取った事例もありますが、清潔ではない掃除機のノズルを口の中に入れるので避けたほうがいいでしょう。「応急処置をしても餅が出てこず、救急車も到着していない状況で、最終手段として行う価値はありますが、おススメしません」と専門家はアドバイスします。

 

GGO編集部

 

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