文部科学省が10年ぶりに行った発達障害の児童生徒の調査。1クラスに3人は発達障害の子どもがいるという現状に、「理解が広がっている」という声とともに、当事者やその親からは将来を不安視する声も。みていきましょう。
小学生10人に1人が発達障害だが…あまりに安い「将来の手取り額」に焦る親たち「どう生きていけと?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

発達障害者の平均手取り…月10万円以下という現実

発達障害という言葉からでしょうか。ネガティブな印象が拭えず、親のなかには「診断をつけてもらうのが怖い」と拒絶するケースも珍しくありません。また診断を受けたからといって、心配がなくなるかといえばそうではなく、多かれ少なかれ、心配は生涯続くものでしょう。

 

——この子はちゃんと生きていけるのだろうか

 

発達障害の子どもをもつ親からはこんな声が聞こえてきます。厚生労働省『平成30年度障害者雇用実態調査』によると、仕事をする発達障害者の平均月収は平均12万7,000円。手取りにすると、9万~10万円程度です。また週所定労働時間が通常の30時間以上に限定すると、月16万4,000円。手取りにすると、12万~13万円程度となります。生きていけるだけの十分な給与を手にしているとは言い難い現状です。

 

もちろん、前述のように発達障害といっても一人ひとり症状等が異なり、一般人以上に働き、収入を得ている人もいますし、就業も厳しい人もいます。平均値だけですべての発達障害者を語るのも難しいでしょう。ただ日本人の平均給与は月30.7万円*と比較すると、半分以下というのが現状。やはり発達障害者の親としては、子どもの将来に不安を覚えて当たり前です。

 

*厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』男女計、学歴計の所定内給与額

 

そこで発達障害者を経済的にサポートする体制はいろいろと整っています。

 

そのひとつが「障害年金」。障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があります。「障害基礎年金」は障害等級の1級・2級に該当する障害がある場合に受け取れるもの。「障害厚生年金」は障害等級の1級・2級に該当していれば加算されて支給され、3級に該当する場合は障害厚生年金のみ受け取ることができます。障害年金の対象となる等級に該当しない軽度の障害でも、「障害手当金」を受け取れる場合があります。

 

また障害の等級といえば、障害者手帳の等級がありますが、障害年金とは別の制度なので、必ずしも一致するものではなく、「診断書」によって総合的に判断されます。

 

受け取れる障害基礎年金は年間97万円ほど、2級で年間78万円ほど。さらに「高校を卒業する以前の子どもがいる」という場合は加算されます。また障害厚生年金で受け取れる金額は、厚生年金の加入期間や平均標準報酬額などで変わりますが、障害の状態に対して受け取れる金額が少なくなってしまう場合も。そのため障害厚生年金3級、さらに障害手当金には最低保障額が設けられ、障害厚生年金3級の場合は58万円ほどです。

 

このように発達障害の人、さらにはその親にとっても心強い支援が整っています。これで十分かといえば議論の余地はありそうですが、まずは地域の窓口などに相談するのも手です。