大卒であれば、40年余り続く会社員人生。その間、いろいろな苦労がありますが、退職金を手にしたとき、きっとすべてが報われるはず。しかし周囲を見渡すと、少々納得のいかないことが……みていきましょう。
大企業勤務なら「退職金2,000万円超え」だが…中小企業勤務の会社員、60歳定年で大後悔も「退職金あるだけ、まだまし」 (※写真はイメージです/PIXTA)

いまどき「退職金で自分へご褒美」というのもハードルが高いが…

退職する際に雇用主から退職者に支給される「退職金」。一般的に定年退職するときに支払われるイメージが強いですが、自己都合で中途退職したり、解雇を受けた時、従業員が亡くなった時なども退職金を支給する対象となります。ただ労働基準法上、会社には退職金制度を導入する義務はありません。いわゆる「ホワイト企業」とされる企業のなかにも、退職金の既定のない会社もゼロではないのです。

 

退職金制度は、従業員の功労に対する報奨の観点から、会社判断で導入されているものであり、法律上導入が義務付けられた制度ではないことは、会社員としてしっかりとおえておく必要があります。もし退職金制度があるのなら、その内容を就業規則に明記する必要があります(労働基準法89条3号の2)。またいったん退職金制度を導入したら、会社は従業員に対して退職金を支払う義務が発生します。実際にもらう段になって齟齬が生じないよう、一度、就業規則をチェックしておくといいでしょう。

 

前述のとおり、退職金は「いままでご苦労様でした」という功労に対する報奨の意味合いが強いものですから、以前であれば「退職金をもらったら、あれして、これ買って……」と夢に思いを巡らすことも多かったようです。しかし最近は、退職金の使い道について、シビアに考えている人が多いよう。

 

結婚~第1子誕生~マイホーム購入……日本人によくあるライフステージが、晩婚化などを理由に、後ろ倒しになってきています。第1子誕生は30代前半、マイホーム購入が40歳前後。これがいまどきの平均値。そうなると、以前は60代定年に向けて50代は貯蓄を加速させるタイミング

 

でしたが、それができないまま定年を迎えるのが一般的になりつつあります。

 

また40歳前後でローンを借りると、ローン完済は70代というのもよく見られるパターン。しかし年金だけが頼りのなか、ローン返済を続けるのはかなりの厳しさです。そこで当てにされるのが退職金、というわけです。

 

老後資金に住宅ローンの完済……結局、これまで頑張ってきた自分へのご褒美でもある退職金だけど、1円も使えず……ということも珍しくないのです。