少々複雑な日本の年金制度。そのため、本来もらえるはずのものがもらえない……そんな悲劇が起きることがあります。みていきましょう
年金月21万円もらえるはずが…70代・元会社員「年金にまさかの時効!?」寝耳に水の驚愕事実 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金14万円…5年間「繰下げ受給」で手にする年金額

日本に住んでいる20歳~60歳未満のすべての人が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員が加入する厚生年金の2階建てとなっている、日本の公的年金。さらに上乗せでもらえる国民年金基金や企業年金、個人型年金で、3階建てにすることも。

 

20歳以降のライフスタイルによって、加入する年金や保険料が変わり、自営業者やが学生、無職などの人は第1号被保険者で加入するのは国民年金のみ。会社員や公務員などは第2号被保険者で、加入するのは国民年金と厚生年金。専業主婦(夫)などは第3号被保険者で加入するのは国民年金のみとなっています。

 

国民年金の保険料が定額で、2022年度は月1万6,590円。支給開始は原則65歳で、満額支給であれば、年間77万7,800円(2022年度)を手にすることができます。

 

一方、厚生年金の保険料は月ごとの給料に対して定率で、納付する額は人により異なります。また従来の支給開始年齢は60歳でしたが、段階的に引き上げられ、2025年度には65歳になります(女性は2030年度)。給付額は働いていたときの給料と加入期間に応じて決められ、「平均標準報酬月額✕5.769/1,000✕加入月数」で計算されます。

 

厚生労働省によると、国民年金受給者の平均年金額は月5万6,358円。一方厚生年金保険(第1号) 受給者の平均年金額は月14万6,145円です。

 

できるだけ年金受給額を多くしたいというなら、「繰下げ受給」という選択肢も。これは老齢基礎(厚生)年金を、65歳で受け取らずに66歳以降75歳までの間で繰下げ、増額された年金を受け取るというもの。

 

加算額は、老齢基礎年金の額(振替加算額除く)、および老齢厚生年金の額(加給年金額除く)に増額率(=0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数)を掛けて計算します。仮に丸5年、受給開始を伸ばしたら(71歳0ヵ月で年金受給開始)、繰下げ増額率は50.4%。つまり、65歳時点で14万円の年金を手にすることができた元会社員がいたとしたら、5年間待つと、1.504倍、月21万円ほどの年金を手にできるというわけです。