大学を卒業しても、就職できず……そんな就職氷河期世代の人たちには、いまだかつてないほどスポットライトが当たっています。一方、そんな時代でも正社員になれた人たちからは「就職したあとが大変だった」という声も。みていきましょう。
年収1,200万円・大企業勤務の50代部長でも…「氷河期世代の勝ち組」が歩んだ壮絶人生「正社員でも、本当に厳しかった」 (※写真はイメージです/PIXTA)

 就職氷河期世代「無事、就職できた」…これで終わりではなかった

もちろん、氷河期世代のすべての人たちが、「社員になれず……」という人生を送ってきたわけではありません。この世代、たとえば大企業の部長に上り詰めた人たちなんかは、明らかな勝ち組といえるかもしれません。大卒・大企業勤務の部長の平均給与は月76.9万円。賞与も含めた年収は推定1,286万円と大台に達しています。同世代でも非役職者だと、月50.6万円、年収は810万円。月25万円、年収にして500万円弱の差が生じます。大卒・大企業の部長は、勝ち組の中の勝ち組といえるでしょう。

 

ただ当の本人たちは、楽な道を歩んできたわけではないことは確か。若手の頃は完全なる買い手市場。一度振り落とされたら上がってこれないという緊張感がありました。そして猛烈に働くバブルの余韻を残す労働環境。長時間労働が当たり前のように課せられた時代でした。さらにいまのようにハラスメントの対策はほとんどなく、大げさにいえば、職場に怒号が飛ぶのも当たり前。「嫌なら、やめっちまえ!」などと、いまのように優しくフォローしてくれる先輩方も上司もいませんでした。

 

そんななか、正社員であれば贅沢はいえないと、希望しない職に就く人も多く、ひどく苦労する人が続出。エン・ジャパン株式会社が35歳以上のユーザーを対象に行ったアンケート調査によると、「氷河期世代の3人に1人が、初職を3年未満で退職」。一方で、就職氷河期だったからこそ身についたもの・得られたものとして「精神面のタフさ」が最多の47%。「どんな局面でも対応できる臨機応変さ」が34%と続きます。

 

「就職するのも大変だったが、入社してからも、人員整理後で業務量は多い上、業務の転換も頻繁だったので、時間・内容ともに厳しかった」とは50歳を目前とした女性の声。入社するまでも大変だったけど、入社してからはもっと、もっと大変だった……この時代の成功者の声を凝縮しています。