相次ぐ物価高のニュースに、年金が収入のすべてという高齢者の生活が厳しいものになっています。なかには、まだ家族を養わなければならない……という人も。そこでありがたいのが「加給年金」ですが、ルール変更で思わぬ事態に陥るケースも。みていきましょう。
月19万円もらえるはずが…65歳・元会社員「加給年金」ルール変更を知らず「年金減額の危機」 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金受給額…モデル夫婦は月22万0,496円

物価高の天井が見えず、日に日に生活が苦しくなっていく昨今。物価高以上に給与が上がればなんの問題はないのですが、いまのところ、そのような流れは一部に留まり、しばらくは辛抱しなければならないようです。

 

そのような状況は給与のある現役世代だけでなく、年金が頼りの高齢者も同様。年金受給者の半数は収入のすべてが公的年金という状況ですから、急激な物価高に不安も増すばかりでしょう。

 

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によれば、老齢厚生年金加入者の受給額は、平均月14万6,145円で、前年から月17円の減少。またモデル夫婦の年金額は月220,496円で、前年から月228円の減少でした。

 

【年金モデル額の推移】

2016年度:221,504円

2017年度:221,277円

2018年度:221,277円

2019年度:221,504円

2020年度:220,724円

2021年度:220,496円

 

出所:厚生労働省

※2016~2019年:夫が平均的収入(平均標準報酬額(賞与含む月額換算)42.8万円で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯が受け取り始める場合の額、2020~2021年:平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

 

年によって多少の上下はあるものの、年金受給額は減額のトレンドにあるといえるでしょう。そのようななかの物価高。それに伴い、年金受給額も増額、というのは期待できそうもありませんから、やはり年金頼りの高齢者も辛抱が続きそうです。

 

【計算式】元会社員や公務員が手にする年金受給額

会社員や公務員だった人の老齢厚生年金の受給額は、以下の計算式で求めることができます。

 

■加入期間が2003年3月まで

平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数

■加入期間2003年4月以降

平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数

 

さらに「経過的加算」がされている人もいます。これは1986年4月に老齢基礎年金制度ができ、その前後の差額を埋めるため設けられたもの。厚生年金加入者が65歳以降に受け取る年金額の算出法が変わり、老齢基礎年金部の金額が小さくなったため、その差額を補います。経過的加算は65歳以上の老齢厚生年金に加算される年金で、国民年金だけの人は対象外です。