低年収の高齢者ほど孤立状態にある
老後不安のキーワードといえば、お金、そして健康。低収入の高齢者は、双方の不安に直面しているといえるでしょう。
——お金がないので、病院にもいけない
そんな高齢者が多いのでしょう。年金5万円未満だと、東京で家賃月2~3万円ほどのアパートだとしても、残るのは2万円ほど。そこで食費や光熱費を払ったら、もう終わり。自身の健康に収入を充てることはできないでしょう。しかも年齢を重ねていくにつれ、医療費はかさんでいくもの。健康不安は増すも、解消する術がないのです。
もともと破産寸前の高齢者を、さらに物価高が襲っています。総務省統計局『2020年基準 消費者物価指数(東京都区部/2022年10月分/中旬速報値)』によると、物価は前年同月比3.5%の上昇。項目別にみていくと、ガス代が前年同月比28.8%上昇、電気代が26.9%、食料品では生鮮魚介が18.0%、穀類が10.5%と、削るに削れないものが、大きく価格をあげています。もともと収入が低い人ほど、負担は大きく感じるでしょう。年金5万円未満の高齢者であれば、生きていけない状況です。
そんな高齢者のセーフティネットはもちろんありますが、そのような支援は低年収の人ほど届かない、というのが現状。現行の支援制度は「困っていたら支援が届く」というものではなく、自身で申請しなければなりません。支援に関する情報を得ることも必要でしょう。しかし低年収の高齢者ほど、孤立を深める傾向にあります。
前述の内閣府の調査では孤独感を点数化し評価をしていますが、「収入10万円以上」では5~6点台ですが、「収入5万~10万円未満で」7.1、「収入5万円未満」で7.0と、低収入の高齢者ほど孤立状態にあることは明らか。生活苦で破綻状態にあったとしても、支援に関する情報も実際の支援も、届かない状況にあるのです。
——こんな老後になるなんて
お金の不安と健康の不安に直面しながらも、身動きさえできない……高齢化、さらには長寿化が進む日本で、すでに破産という高齢者が増えています。