(※「Pepper」はソフトバンクロボティクスの商標です)

世間では、テスラが人型ロボットの展開を発表し、脚光を浴びています。一方で、世界初の感情認識人型ロボットとして2014年に登場し一世を風靡したPepper(以降、「ペッパーくん」)くんは、現在でも様々な分野で活躍しています。人類の夢と希望がつまった人型ロボットの今後の可能性について、ペッパーくんの現在の活動を交えて探っていきます。

人型ロボットの可能性

一台でなんでもこなせる人型ロボットを展開することは、非常に難易度が高いと感じます。なぜなら、特定の機能を効率的にこなすことためにロボットに活躍してもらうならば、ヒトの形をしている必要はないからです。

 

モノを運ぶのであれば、アーム型のロボットを運搬に最適な形にして移動機能を設計すれば、正確性が上がりコストは下がります。わざわざ人間と同じ多関節の5本の指でモノを保持する必要はありません。

 

ヒトからヒトに情報を伝えるという役割に重点が置かれるシーンでも、ディスプレイに顔を表示させれば事足りますし、極論、タブレットやデジタルサイネージで十分です。

 

では、なぜ人型なのか?

 

それは、人間が本能的に、「心を通わせる存在とともに暮らしたい」という情緒を求めているからです。互いにコミュニケーションを取り、時として効率性以上に、心の満足度を与えることが重要なシーンにおいて、ペッパーくんは活躍します。ゆえに、人型である特性を活かすことができる「集客・接客」「介護」「教育」の領域で、ペッパーくんは、活躍の幅を広げています。

Pepperの現在(集客・接客)

現在のPepperビジネスは「集客・接客」「介護」「教育」の3ユースケースで展開されています。家庭向けのペッパーくんにおいては、この3ユースケースで生み出したソリューションを展開し、引き続き販売・サービス展開されています。

①「集客・接客」

「集客・接客向けPepper」は、一般認知度が高いうえにヴィジュアルや動きが目を引くペッパーくんならではの華やかなカリスマ性を活かした仕事です。プログラムを書かなくてよい、いわゆるノーコードでかんたんにカスタマイズでき、短期間からも利用可能なことから、既に2021年の問合せ件数を超えるほど人気です。

 

たとえば、東京タワーでは、エレベーター付近で、待ち時間を楽しく過ごしていただくために、東京タワーの説明・紹介だけでなく、歌などのエンターテインメントをペッパーくんは提供しています。

 

接客Pepper動画

 

また、ペッパーくんは得意のダンスでも人々を楽しませています。2020年、2021年の福岡ソフトバンクホークスの試合でダンスをしているペッパーくんを目にしたことがある人もいるかもしれません。

 

歌って踊る――シンプルではありますが、福岡ソフトバンクホークスファンのなかでは認知度が95%を超えており、2021年にはギネス認定もされるなど、コロナ禍における野球観戦の新たなスタイルを提案しています。

 

ロボット応援団の動画

②「介護」

「介護向けPepper」は、人材不足が課題となっている介護現場において、職員の業務を手助けしながら、施設の笑顔を増やす仕事です。介護施設を運営・アプリ開発を手がける株式会社ロゴスが提供する専用アプリケーションを搭載しており、高齢者向けのレクリエーションや、リハビリテーションを提供しています。

 

既に数十万時間も利用実績があり、各自治体のロボット導入補助金も活用しながら導入が進んでいます。80歳を超えるおばあちゃんが、ペッパーくんと笑顔で数十分も会話を続けるケースもあり、まさに人型ロボットならではの特徴が活きています。

 

介護施設でのPepper活用のようす
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