団塊ジュニアのなかでも非正規の悲惨さは段違い
さらに悲惨なのが、団塊ジュニアのなかでも非正規社員の人たちです。実はこの世代にはもうひとつ、初期の「氷河期世代」という“顔”もあります。大学卒でも正社員になれず、その多くが非正規社員として社会人になった世代。雇用環境が改善した頃には、それ相応のキャリアが求められる年齢になっていたため、正社員になることは叶わず、不本意ながらも非正規で働きつづけてきた、という人が多くいます。
前述の厚労省の調査によると、非正規の平均給与は40代後半で20.9万円、50代前半で21.2万円、50代後半で21.0万円。手取りにすると16万円ほど。社会人になってから、ほぼ同じ給与水準で50代を迎えます。そしてこの年齢になると、正社員の半分以下の給与水準となります。
このまま65歳を迎えたときに手にする年金は月10.5万円ほど。一方、前出と同じように55歳で介護離職したとすると月9.8万円。7,000円ほどの違いと、正社員と比べると小さくなります。ずっと非正規だったので、当然ボーナスもない、昇給もない……そう生きてきたのですから、介護離職による金銭的なデメリットはそれほど感じないかもしれません。
それよりも非正規という立場、ある日突然雇止めになるかもしれない、という恐怖とともに、月16万円で生きてきたこと。挙句の果てに、親の介護に直面し、その介護から解放されたときには、到底暮らしていくのも難しい年金しかもらえず、再び、非正規として働かなければならないこと。そんな希望もない未来しかイメージできないことのほうが、何倍も辛いことかもしれません。
——生まれてくる時代を間違えた
——生きていくのも、ツライ
——大卒なのに……みじめ
そんな声が聞こえてくる、非正規の団塊ジュニア。氷河期世代に対しては、正社員化支援が活発に行われていますが、親の介護でその支援も届かない人たちがこれから増加していくと考えられます。このような人たちをどのようにサポートしていくのか、解決の糸口は見つかっていません。