貧困問題など遠い世界の話のように思えますが、日本では意外と身近な問題。「子どものいる貧困世帯」に注目すると、なかでも「高校生の子どものいる世帯」で貧困率が高いことが分かります。みていきましょう。
生活費10万円では「制服を買うことも」…高校進学で絶望する「貧困世帯」の苦しみ (※写真はイメージです/PIXTA)

「子どもの貧困」のなかでも「高校生の貧困」が多いが…

子どもの貧困というと、「母と、まだ手のかかる小さな子ども」という姿をイメージします。しかし「高校生くらいの子ども」の貧困が多いのが実情です。その理由として、子どもが中学校を卒業したあたりで「ちょうどいい」と夫婦関係に終止符をうつ親が多いから、という説を唱える専門家も。「母と高校生の子ども」という世帯になったけど、本来支払われるはずの養育費が支払われず……というストーリーです。さらに児童手当など、日本の子育て支援の多くは中学校までというケースが多く、「子どもが高校生になったら困窮度が増す」という事情があります。

 

——高校に合格したけど、制服が買えない

——友だちはスマホを持っているけど、自分には高級品

——修学旅行にはいけない

 

本来、楽しいはずの高校生生活。普通であれば得られるはずの経験も、贅沢すぎて諦めざるを得ないという悲痛が聞こえてきます。

 

「高校生になったんだから、アルバイトでもして家計を支えろ」、そんな主張をする人もいるでしょう。確かに高校生ならアルバイトも可能でしょうし、実際に高校生からアルバイト経験のある人も多いでしょう。しかし「高校生で生きていくためのアルバイト」をしたことのある人はどれほどいるでしょうか。

 

「高校生の親なら、普通に働きにいけるだろう」、そんな声も。確かに小さな子どもをもつひとり親よりは働きに出やすいでしょう。しかし長い間、働くことから遠ざかっていた場合、いきなり正社員として精力的に働くというのは難しく、「低賃金の非正規社員」というのがよくあるパターンなのです。

 

学歴によって給与が左右されることは周知のこと。なんとか高校には進学したけど大学までは……という貧困世帯の子どもも多いでしょう。「大学全入時代」といわれているなか、進学したいと願うなら進学させてあげたいものです。ただ日本の場合、「高校→大学→社会人」というのが既定路線。欧米ではよくみられる「高校→社会人→(お金を貯めて)大学生」といった進路・キャリアは稀であり、日本ではデメリットにさえなります。進路・キャリアの多様性を認めていくことも、貧困の連鎖を生まないためのひとつの解決策といえるでしょう。