(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の健康診断で、35歳を境に組み込まれるバリウム検査。このバリウム検査は苦手な人も多く、なかにはバリウム検査だけ当日にキャンセルにする人もいるほどです。多くの人に不評なこの検査、実は40代以降の多くの医師は「受けなくなる」と、MYメディカルクリニック横浜みなとみらいの山本康博院長はいいます。それはなぜか、みていきましょう。

会社の健康診断での検査項目…バリウム検査は義務?

健康診断は、労働安全衛生法に義務づけられている「法定検診」と呼ばれるもので、労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的として定められています。検査項目は以下の通りです。

 

•問診(既往歴、業務歴、喫煙歴、服薬歴、自覚症状及び他覚症状の有無)
•検査(身長、体重、腹囲、視力、聴力)
•血圧測定
•胸部X線検査(必要に応じ、喀痰検査も実施)
•血液検査
•尿検査(尿中の糖とタンパクの有無の検査)

 

この項目のなかに、バリウム検査はありません。つまり、バリウム検査は法的に義務づけられた検査ではないのです。ただし、健康保険組合によっては一般検診として胃部レントゲン検査がセットになっている場合もあります。

バリウム検査で調べられること

バリウム検査は主に胃がんの対策型がん検診として、国が推奨している検査方法です。ここではバリウム検査を受診してわかることや検査方法、胃カメラとの違いを説明していきます。

 

バリウム検査は、食道や胃のなかの病変を描出することができる画像検査です。

 

バリウムはレントゲン写真で白く映る性質があります。通常、食道や胃の粘膜はなめらかな状態になっているため、バリウムを服用してレントゲン写真を撮影すると粘膜のヒダに沿って均一に白く映ります

 

しかし、潰瘍やポリープ、腫瘍などの病変があると、その部分だけバリウムが溜まって濃く描出されたり、バリウムがはじかれて一部分だけ色が抜けるように描出されたりするようになります。

 

このように、バリウム検査は食道や胃の粘膜に異常を引き起こす病気の有無を簡易的に調べることが可能です。

 

多くの医師がバリウム検査を「受けない」ワケ

しかし、バリウム検査のみではどのような病気なのか確定診断することはできません。また、胃潰瘍が治った跡なども描出されるため、正確な診断を下すには内視鏡検査が必要になります。

 

実際、医師のあいだでは若いうちはバリウム検査を受ける人もいますが、40代以上の場合は胃がんリスクも高まることから、多くの医師は検査精度の高い胃カメラ検査を受けています。

 

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