収入が倍になれば幸せも倍?
もちろんうつ病になるのには、様々な要素がある。ただ今回は「年収1,000万円」という要素にだけ話をしぼってみたい。年収1,000万円もあれば、果たして人は幸せなのか。うつにはならないのか。
答えはNOだ。
ここで「価値関数」という話を知っているだろうか。人間の感じる、主観的な嬉しさは、得られるものの客観的な値段に正比例しない。価値があがるにつれて、どんどんその感じ方は鈍くなっていくのだ。
たとえば1万円をもらうと嬉しいだろう。当然だ。では2万円をもらった場合は? いやもちろん嬉しいだろう。それはわかる。しかし果たして2倍嬉しいか? おそらくそんなことはないだろう。せいぜい1.2倍とか、いっても1.5倍とかだろう。感じ方はどんどん鈍くいくものだ。
もっと大きな額で考えてみてもいい。1億円をもらう。もちろん嬉しいだろう。当然だ。自分もほしい。では2億円だったら? やはり1億円の2倍嬉しい、ということもない。
1億円と、ほぼ大差ないのではないだろうか。重ねて人間の感じる嬉しさは、どんどん鈍くなってしまうのだ。
そのため、たとえ年収が1,000万円であったとしても、年収500万円の倍嬉しいわけではない。年収200万円の5倍嬉しいわけでもない。結局、高くなるほど感じ方は鈍くなってきてしまい、比例的な喜びがあるわけでもなくなる。
くわえて累進課税。さらに多くの税金が取られてしまう。結局のところ、得られる喜びは、年収1,000万円だろうが、年収200万円だろうが「いうほど大差がない」のだ。
しかも年収が少しでも高くなると、人はそれにあわせて生活レベルを上げてしまう。住む家、食べるもの、着る衣服……。すると一度でもレベルを上げると、簡単には下げられない。そして少しでも下げてしまうと、その落差から、強い不幸を感じてしまう。これらもうつになる要因のひとつになりえるのだ。
まとめ
年収が高いからといって幸せとは限らない。
もちろん生きていれば、お金は重要だ。それは同意する。しかしそれだけで幸せになれるわけでもなければ、それだけでうつにならない、というわけでもない。それはまず知っておこう。
それこそが健康的に生きる第一歩だ。
安田 雄一郎
医療法人社団上桜会
理事長
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