「日本人は英語を勉強しているのに話せない」とはよく言われることです。一方、日本語と同じ語順の韓国語を使用し、「日常で英語が聞こえてこない環境」も同様である韓国では、英会話教育において日本よりも高い成果が上げられています。ここでは韓国の英語教育をご紹介し、日本の英語教育における問題点を探っていきます。
韓国の「英語の教科書」から見えてくる…日本人が英語を話せないワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

IT教育と同時進行「韓国の英語教育」

隣国、韓国における小学校の英語教育は、1982(昭和57)年からクラブ活動の一つとして始まりました。1997(平成9)年には必修科目となり、当時は3年生から週2時間の授業を受けていましたが、現在は3、4年生が週2時間、5、6年生は週3時間の英語の時間があるそうです。

 

初めはリスニングとスピーキングが中心で、だんだんとアルファベットと単語の読み書きに入ります。例文は128種、単語は500語を学びます。指導はクラス担任があたるケースが約3割と言われています。

 

ALT(※)を導入する計画はないそうです。しかし、小学校教員には120時間の英語研修をおこない、さらに120時間の上級研修も用意されています。また、専科教員の増員も計画されています。

 

※ 外国語が母語である外国語指導助手のこと。

家庭学習用のCD-ROMを全生徒に配付

2001(平成13)年初版の小学校4、5、6年生用の英語教科書を見る機会がありました。

 

書かれている英語はタイトルと学習方法を示す簡単な英語だけ。全ページがイラストと写真で、説明文や、学習の仕方、質問の文も韓国語で書かれているので、日本の英文の多い中学生用の教科書を見慣れている目には、“これが英語の教科書?”と疑いたくなります。

 

その他に生徒用のCD-ROMが各学年1枚(または録音テープが1年分で3本)配付されています。

 

教科書は当初日本の文部科学省に当たる教育人的資源部(現在は教育科学技術部)の発行でしたが、2011年からは民間の出版社が出し始めている過渡期にあるとのことで、3、4年生用は10数種類の検定教科書とCD-ROM(各学年2枚)が出版されており全生徒に配付されています。5、6年生用は、2012年の段階では民間の出版社による教科書は出ていないそうです。