元通産省官僚・株式会社二十一世紀新社会システム研究所代表である、本田幸雄氏の著書『劇症型地球温暖化の危機 太陽光エネルギー革命で日本を再生する』より一部を抜粋・再編集し、「日本の民主政治」について見ていきます。
「政党の公約を全く重視しない国民性」が招く日本政治の恐ろしい末路 (※写真はイメージです/PIXTA)

「政党の公約を全く重視しない」日本人の国民性

2006年に第一次安倍内閣で、自民党は「2018年までに47都道府県を廃止し、約10の道州に再編する」と公約していました。

 

2012年に自民党が政権復帰すると再び『道州制基本法』の早期成立を図り、「その制定5年以内の道州制導入を目指します。

 

導入までの間に、国、都道府県、市町村の役割分担を整理し、住民に一番身近な基礎自治体(市町村)の機能強化を図ります」(2012年の自民党のマニフェスト)と公約していましたが、安倍長期政権は一向に動くことはありませんでした(政党の公約、マニフェストを全く重視しない日本人の国民性が、日本政治を堕落させてしまいました)。

 

選挙公約やマニフェストは選挙上の建前、実際にやることは安倍首相の胸の内、憲法改正と一連の「戦後レジームの総決算」政策と森友、加計、桜見、オリンピックで最後が新型コロナのアベノマスクで9年間(菅内閣の一年を含めて)、国会を空費しました(江戸幕藩体制は250年続きましたが、最後は黒船の出現でとどめを刺されました。江戸幕府の官僚たちは黒船が迫っていることに気づきませんでした。現在の幕藩体制の官僚たちは劇症型地球温暖化が迫っていることを全く意に介していません)。

 

実際、各種世論調査「政府に何をやってもらいたいか」で毎回、上位になる「年金問題」「医療福祉問題」「少子化対策」「財政再建」……などは無視・先送りされ、世論調査でいつも7位か8位の下位の3~5%程度にしかならない「憲法改正問題」が最優先され、国民の思いと政治がこれほどかけ離れたことはありませんでした。

 

(その最大の理由は小選挙区制と野党の分裂、つまり、自民政権を支えることにしかならない疑似野党政党の多発でしょう。中選挙区制から小選挙区制に変える時、議論されましたが、小選挙区制では、二大政党でなければ原理的に政権交替は起きません。ガリバーと6人の小人では、百年河清を待つです。

 

情報時代という背景もあります。今のメディアを使えば、小さくても一党一派の党首として自己満足できるのです。そこには国がどうなるか、どうするかという観点が抜けています。野党同士を説得できない政治家が、どうして国民を説得できるでしょう)