自分がお金を預けている銀行の担当者から「資産運用をはじめませんか」と提案を受けたことがあるという人は多いでしょう。「貯蓄から投資へ」という国の方針上、資産運用は非常に重要である一方、銀行員のいうことをすべて鵜呑みにするのは非常に危険だと、FP Officeの加藤勇氏はいいます。それはなぜか、「信用できる銀行員」と「そうでない銀行員」の違いとともにみていきましょう。
銀行員「資産運用しませんか」…信用して「いい人」と「ダメな人」の決定的な違い (※写真はイメージです/PIXTA)

短期・回転売買を勧める「なりきり証券マン」

証券会社と異なり、銀行には預金の詳細が手に取るように見える。本来あってはならないが、その預金を投資信託に切り替える手続きをするだけで、比較的容易に販売することができる。

 

日本の銀行の信用は特に高齢者には絶大で、お客様には「銀行員さんが言っているから大丈夫」とリスクも考えずに安易に投資信託を購入してしまうケースも多々ある。

 

投資信託の分配金を利息と誤認していたり、「分配金は利息のようなもので、お孫さんへのお小遣いの足しにしてください」などという、銀行員の怪しいセールストークをそのまま信じてしまうケースもある。

 

特別分配金が元本を切り崩して支払われるというリスク面を知らず、そのような最低限のリスクすら説明しない(あるいは知識不足でできない)銀行員もいる。

 

また、新しい投資信託が発売されれば、いかにも「売れ筋」をうたい文句に、あってはならない短期売買・回転売買を繰り返し、収益を荒稼ぎする銀行員もいる。もちろん、短期売買・回転売買は銀行内ルールでも禁じられているため、「アフターフォローにてお客様から申し出を受けた」などと、責任をお客様になすりつける銀行員もいる。

 

もちろん、これらの手数料等費用はお客様負担であり、得られた利益も縮小してしまう。

 

外貨建て、変額保険が大好きな「なりきり保険マン」

「定期預金を孫や子供に残したいと言っていたから、外貨建ての個人年金保険に切り替えた」など、銀行の裏側では日常的に成功事例として共有されている。

 

お客様の意向に沿ったもの・適合性の原則に従ったものなら問題はないものの、ここにも「収益目当て」の銀行員もいる。

 

銀行員が提案する多くの保険商品は一時払い型のものが多く、セールス文句の切り口は「定期預金で置いておかれるのなら、保険に回しませんか」である。

 

昨今の預金は低金利下であり、確かに保険という手法を使った資産運用・相続対策等には頷ける。しかし、流動性等のリスクを勘案した上で、保険加入を考察しなければならない。

 

銀行員はいかに、収益性の高い保険を販売するかを模索している。結果、お客様のリスクの許容度や理解度を超えた外貨建て保険や変額保険を提案しがちとなっている。