不動産投資には8つのリスクがあります。本記事では、8つのリスクについての概要と、それぞれのリスクを回避する方法について解説します。
不動産投資の8つのリスクとは?それぞれの回避方法を解説

5.建物損傷のリスク

所有する物件で損傷などが起これば修繕費が必要になり、投資収益の損失につながります。また被害が大きければ入居者が退出してしまい、家賃収入が途絶える可能性もあります。

 

【建物損傷リスクを回避する方法】

これらのリスクを最小限にする手段の1つが、火災保険です。火災は物件にダメージを与える最たるもので、焼失すれば家賃収入はなくなり融資を返済できなくなります。このためほとんどの金融機関では投資物件に融資する際、火災保険への加入を必須としています。

 

火災保険では全焼はもちろん、一部が焼けたような被害でも保険金額の範囲で補償されます。また隣家などからの延焼で火災になっても、日本の失火法では自分の建物は自分で直さなければいけません。そのため所有物件で禁煙などの防火対策をしていても、火災保険は必ず付けるべきです。

 

さらに火災保険は火事だけでなく建物の幅広い損傷を補償する役割も持っています。修繕の出費を大幅に抑えられるケースもありますので、加入する火災保険の補償内容をしっかり把握することをおすすめします。

 

6.天災リスク

日本は世界的にも自然災害の多い国です。多発する自然災害によって所有物件がダメージを受けるリスクも考慮する必要があります。

 

【天災リスクを回避する方法】

天災リスクへの対策には、「そもそも災害に強い物件を選ぶこと」と「災害のダメージを受けてもカバーできること」の2段階があります。

 

天災に備えるために、1981年には耐震基準が改正されて1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は新耐震基準に準拠しています。つまり、1981年6月1日以降の建物を選ぶことで災害に強い建物であることが期待できます。2022年現在では築41年未満の建物が対象になるので、中古物件選びの際にはこの築年数を1つの目安にしてください。

 

次に、保険による対策です。現在の一般的な火災保険は火事だけでなく、落雷や台風、竜巻、大雪などの自然災害の被害も補償対象になっています。

 

例えば落雷によって物件に付いている給湯器やエアコンが壊れても、条件を満たせば火災保険によって修理や交換ができます。あるいは台風で飛んできた物が当たって窓ガラスが割れた被害も補償対象になります。その他にも以下のように火災保険にはさまざまな特約が用意されており、これらをうまく活用することで自然災害以外のさまざまなリスクも適切に管理することができます。

 

●施設賠償責任特約

火災保険の中には賃貸物件のオーナー向け特約を用意しているものがあります。例えば施設賠償責任特約は、建物の劣化や不具合で入居者などに与えてしまった被害の損害賠償を補償します。

 

例えば部屋の照明の取り付けが悪かったことが原因で、照明が外れて入居者に当たり怪我をさせてしまったような場合、補償してくれます。特に築年数が経っていて状態が悪いような物件では、ぜひ加入をおすすめします。

 

●家賃補償特約

家賃補償特約は物件が火災などで損傷して修理するため、一時的に入居者に他の場所へ移ってもらっている間の家賃を補償します。さらに損傷が原因で入居者が転居し空室となってしまった場合の家賃を補償する特約もあります。

 

融資を受けて物件を購入すると家賃が途絶えることが最大のリスクになります。こうした家賃を補償する特約は積極的に検討するようにしましょう。

 

●家主費用特約

家主費用特約は物件内で入居者が亡くなった際の部屋の掃除や、消臭、内装張替えなどの費用を補償します。さらに遺体の引き取り手がいない場合の火葬費や、家財の処分費などを補償する特約もあります。

 

他にも事故物件として家賃を下げることになったり、しばらく空室になってしまった場合の損失を補償する特約もあります。従来の自殺などに加え、入居者の高齢化による孤独死も今後は増加する可能性があります。万一発生すると空室が長期化する恐れもあるため、付帯しておくと安心な特約でしょう。

 

7.不動産価格下落リスク

築年数によって家賃が下落することはすでに解説しましたが、それは不動産価格についても同様です。築年数が多くなるほど不動産の価格は下落し、売却価格が低くなっていきます。中古マンションの築年数による価格下落についても、三井住友トラスト不動産が発表しているデータを見てみましょう。

 

引用元:三井住友トラスト不動産「不動産マーケット情報」
[図表2]【首都圏】中古マンションの築年帯別価格―2005年・不動産流通機構データより―
引用元:三井住友トラスト不動産「不動産マーケット情報」

 

家賃の下落と同様に築10年までの下落スピードが速いことが分かります。その後は横ばいに近い推移になっており、このこともリスク回避の上で重要です。

 

【不動産価格下落リスクを回避する方法】

先ほどのグラフでも見られるように、中古マンションは築10年までの下落幅が大きく、その後は横ばいの傾向です。つまり、築11年目以降の中古マンションを購入することで不動産価格下落のリスクを回避できることが期待できます。

 

8.不動産会社倒産リスク

不動産投資では収益物件の購入から賃貸経営のサポートまで、多岐にわたって不動産会社との「付き合い」があります。初心者でも不動産投資で成功できるのは、こうした不動産会社をパートナーとしているからであり、初心者以外であっても不動産会社の存在はとても大きなものがあります。

 

そんな不動産会社が倒産してしまうと相談相手を失い、サポートも受けられなくなってしまいます。不動産会社の倒産によって不動産投資家の賃貸経営まで破綻してしまうのは、重大なリスクです。

 

【不動産会社倒産リスクを回避する方法】

不動産会社の倒産リスクを100%見抜くことは困難ですが、企業の基本情報から営業年数や事業免許の取得年数などが分かりますし、その他にも会社情報から売り上げや利益の推移なども知ることができます。

 

こうした情報を分析するのが苦手な方は、社名で検索をしてみて経営が危ないとされる情報が出回っていないかを調べるのもひとつの方法です。