新築と中古、両方の「いいとこどり」を狙える物件
新築マンションと中古マンションはそれぞれが一長一短であり、相反するメリットとデメリットがあることがおわかりいただけたと思います。冒頭で「根本的に価値観が異なる」と述べた両者ですが、それぞれの「いいところどり」をすることはできないのでしょうか。そんな願いをかなえることができる「いいところどり」物件が2つあるので、それを1つずつ解説します。
築浅の中古物件
新築と中古の「いいところどり」ができる物件選びのひとつめは、築浅の中古物件です。この場合の「築浅」に明確な定義はありませんが、築5年以下程度の物件であれば新築に準ずる価値があると見なされるでしょう。
すでに解説したように新築物件には「新築プレミアム」がありますが、新築同様であっても一度でも誰かが住んだ物件は中古物件になります。それは築2年、3年であっても同様です。中古物件になった瞬間に市場価格で取引されるため、「新築プレミアム」の上乗せはありません。それでいて築浅物件は新築マンションと同様に集客力が高く、それでいて修繕が発生する可能性が低いため、「新築プレミアムのない新築同然のマンション」となるわけです。
リノベーション物件
リノベーションとは、一部の修繕やリフォームではなく物件全体に抜本的な工事を行い、それまでにはなかった新しい付加価値を創造することです。
リノベーションの業界団体である一般社団法人リノベーション協議会はリノベーションを「中古住宅を現代のライフスタイルに合った住まいによみがえらせること」と定義しており、この「現代のライフスタイル」というのがポイントです。築年数が経過している家やマンションはその当時の価値観で建てられているため、いまの時代にマッチしない可能性があります。しかし、古い不動産は土地の選択肢が広かった時代に建てられているケースが高く、立地条件に恵まれているものも少なくありません。
このような好立地の中古マンションのなかから状態のよいものを厳選し、リノベーションを施して提供することで集客力を高めるというのが、リノベーション物件です。
リノベーション物件の現状と今後の市場予測
上記の解説でリノベーション物件が新築と中古の「いいところどり」ができることを解説しましたが、このことに魅力を感じる人はとても多く、リノベーションの需要は拡大し続けています。
公益財団法人東日本不動産流通機構が発表している「首都圏不動産流通市場の動向」の2021年版では、首都圏の不動産成約状況において中古マンションと中古戸建て住宅が高い伸びを示しており、高騰する新築に対して中古物件が見直されていることがうかがえます。コロナ禍を契機に普及したリモートワークやオンライン授業などのニーズを受けて、自宅を職場や学校としても活用できる空間にするリノベーションの人気が高まっていると語る業者もいます。
住まいに対する価値観や生活スタイルの多様化は、今後ますます進むでしょう。このような流れのなかで、画一的な価値観の賃貸マンションではニーズに応えられるとはいえず、今後さらに中古マンションをリノベーションすることによる不動産投資が活発になっていくと考えられます。
最強の不動産投資は「リノベーション投資」
新築と中古にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、不動産投資家としてはそのどちらかを選ぶのではなく、両者の「いいところどり」を狙うのが成功のカギです。
その意味で築浅の中古物件とリノベーション物件を推奨しましたが、物件の選択肢の広さや時代に合った付加価値を創造できるなどの観点から、後者のリノベーション物件に高い優位性があるといえるでしょう。
「貯蓄から投資」の機運が高まるこれからの時代、いま考えられる「最強の不動産投資」としてリノベーション投資を検討してみてはいかがでしょうか。