自営業者や共働き世帯などから批判が集中する、いわゆる専業主婦優遇。特権ともいえるポジションに留まろうと働くのを控える姿に、必死で働くシングルマザーからも恨み節があがっています。みていきましょう。
給食費も払えません…平均生活費月12万円、貧困シングルマザーを生む「専業主婦優遇」という大罪 (※写真はイメージです/PIXTA)

専業主婦を優遇する「年収の壁」

——専業主婦は優遇されすぎ

 

たびたび議論される、この話題。問題を知るために、まずはそこでいわれている、いくつかの“壁”について整理してみましょう。

 

103万円の壁

夫の扶養ではなく、妻自身のパート代に所得税がかかり始める年収。103万円を超えると、超えた分に対して所得税がかかるようになります。住民税は地域によって異なりますが、100万円前後からかかるようになります。

 

106万円の壁

厚生年金保険や健康保険といった社会保険への加入が必要となり始める年収。以下①~⑤の条件に当てはまると、配偶者からの扶養からは外れ、自らが社会保険に加入しなければなりません。

 

①所定労働時間が週20時間以上(残業は除く)

②雇用期間が2カ月以上見込まれる

③1カ月の賃金が8.8万円(年106万円)を超す(手当、賞与は除く)

④従業員数が101人以上の企業

④学生ではない

 

130万円の壁

厚生年金保険や健康保険といった社会保険への加入が必要となる年収。年収130万円を超えると社会保険の扶養から外れ、自身で社会保険に加入する必要が生じます。実際には、年収が130万円以上になったら、即、扶養から外れるというわけではなく、過去の収入状況や現時点での収入、将来の収入の見込みなどで判断されます。

 

150万円の壁

扶養者の配偶者特別控除を38万円の満額を受けるための、被扶養者の年収上限。満額受けるには、扶養者の所得が900万円以下(サラリーマンは給与収入1,095万円以下)で被扶養者の年収が150万円以下であることが条件。それを超えると扶養者の所得、被扶養者の所得が増えるにつれ、段階的に控除額は減額されます。

 

201万円の壁

扶養者の配偶者特別控除を受けるための、被扶養者の年収上限。201万円以上になると控除額はゼロになります。

 

 

このように、税金や社会保険の観点で、優遇措置がとられている専業主婦。パートやアルバイトをする場合、この壁を意識して最大限にプラスになるように調整するのが、専業主婦のひとつの働き方となっています。