(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍に続き、円安、株安、物価高、さらに長引くロシアとウクライナの戦争…。日本経済だけでなく、世界経済が大混乱に陥っています。企業経営者、個人はどのように対処していけばいいのでしょうか。累計で10,000件を超える“富裕層を熟知した税理士”・芦田ジェームズ敏之氏が解説します。

企業の経営を安定させる「飛び石」戦略

よく経営の多角化ということがいわれます。この時に考えなければならないのは、やはり本業とはまったく関係のない事業に投資することです。「経営の神様」と称された稲盛和夫氏は、経営の多角化は企業発展に不可欠ではあるものの、まったく関連のない事業に「飛び石」を打てば失敗する、との持論をお持ちでした。

 

多くの経営書でも同様のことがいわれています。本業で利益が出た場合に、そこに再投資して競争力を高めることが大事だと。

 

しかし、私は、それは危険だと考えています。高度成長期であればその戦略でよかったかもしれません。あらゆる産業が伸びていたわけですから。

 

しかし、いまの時代、自社の事業がいつ不況業種になるかわかりません。構造的な斜陽産業になった場合、一企業の努力では限界があり、関連事業も一緒に飲み込まれてしまいます。

 

だからこそ「飛び石」で本業と関連のない事業に投資していくのが現実的で、経営の安定性が非常に高くなると考えています。

 

ところが、多くの企業が本業とかかわる領域に投資するケースが多いのが現実です。たとえば、テレビ業界は不況業種ですから、その事業自体の立て直しは困難です。では関連するインターネット事業に進出したとしても、そこはすでに激しい競争にさらされているので後発では勝ち抜くのは厳しいでしょう。

 

銭湯業界も斜陽産業です。銭湯という日本の文化は大切ですが、では事業承継するために古くなった設備をリニューアルするために多額の投資をすることは正解なのかというと、私は否定的です。

 

ではどうすればいいのか。前述のTBSのように自社が持つ資産を活用する。銭湯であれば、銭湯事業は現状維持を図りつつ、手元に資金がある場合は、それは別に投資して、不動産経営や有価証券でインカムゲインを得るほうが賢明だと思います。

 

自社が所属する産業を過信してはいけないというのが私の考え方です。永遠に続く産業などないからです。

 

弊社のお客さまは、未上場の中小・中堅企業や個人の富裕層が中心です。未上場のオーナーが1人の会社だと、企業の存続が非常に重要になります。会社の経営が少し厳しくなった時に、助けられるのは、オーナーの個人財産しかありません。仮に事業が縮小したとしても、本業とはリンクしない資産を持っていれば安心です。

 

以上のような観点から、弊社が考える「Wエンジン戦略」は、非常に理にかなったものであると考えています。

 

芦田ジェームズ敏之氏

税理士法人ネイチャー 代表税理士

 

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