2020年10月から、さまざまなことが変わりましたが、そのひとつが、社会保険の加入条件。より多くの人が充実した社会保険の制度を利用できるようになりますが、微妙なラインで働いていた専業主婦(夫)は、働き方を迷うところ。はたして思い切り働くのが良いのか、それとも控えめが良いのか。みていきましょう。
給与月8.8万円「パート勤めの専業主婦」…厚生年金に加入するのは損ですか? (※写真はイメージです/PIXTA)

厚生年金に加入すれば、将来的に「年金」が増えるが…

厚生労働省『令和4年7月分 毎月勤労統計調査』によると、パートは全国に1627万人。平均的な労働時間をみていくと、出勤は14.1日、残業時間合わせて81.3時間働いています。平均的な賃金についてみていくと、時間当たりの給与は1,234円。月給(所定内給与)は9万7,618円、月収(現金給与総額 )は10万5,920円。平均的なパートであれば、専業主婦(夫)は扶養から外れる可能性が高いということ。扶養でいるために、さまざまな調整が必要であることがわかります。

 

扶養に外れるかどうかのボーダーラインといえる、月8.8万円の収入があるパートが、厚生年金に加入した場合を考えてみましょう。5年間加入したとすると月2万8,939円、10年間加入したとすると月5万7,879円の増額となります。

 

8万8,000円×0.005481(昭和21年4月2日以降生まれの場合の乗率)×60ヵ月=2万8,939円

8万8,000円×0.005481(昭和21年4月2日以降生まれの場合の乗率)×120ヵ月=5万7,879円

 

国民年金の受給額は6万4,816円(満額、2022年4月~)ですから、5年間の加入で9万3,755円に、10年間の加入で12万2,695円を手にできるということになります。

 

では社会保険に加入するのが得なのでしょうか、それとも損なんでしょうか? これはメリットとデメリットを天秤にかけ、それぞれが判断することでしょう。

 

メリットとしては、保険料を会社と折半できるうえ、老後に受け取れる年金額を増やすことができること。また充実した保険制度を利用でき、たとえば要件を満たせば、出産手当金や出産育児一時金なども支給されます。

 

デメリットとしては、手取りが減ること。たとえば月収10万円、年収120万円だとすると、手取りは103万円ほど。それなら配偶者の扶養に入っていたほうがいい……そう判断する人もいるでしょう。

 

長い目でみたときのメリットか、それとも目先のメリットか。よく考え、働き方を検討したいものです。