未婚率の上昇に伴い、単身世帯が急激に増加しています。そんな単身者はさまざまなリスクが高いとされ、そのなかのひとつが「貧困」。特に定年を前にした50代の単身者は、事態も深刻だといいます。みていきましょう。
手取り12万円「今日はお肉が食べられた…」大卒50代・非正規、あまりに悲惨な極貧生活 (※写真はイメージです/PIXTA)

未来を描くことができない非正社員の低賃金

貧困、介護、孤独……といった、昨今の日本の社会問題のリスク回避や解決において、重要な役割を担ってきたのが「家族」です(そこにも大きな問題が内包されていますが)。単身=身の回りの家族がいない、というわけではありませんが、二人以上世帯に比べてリスクへの対応は難しいといえるでしょう。

 

単身者の可処分所得の分布をみていくと、5人に1人が可処分所得100万円に満たず、月々8万円程度の生活費で暮らしているという状況。もちろん、持ち家か賃貸か、都会暮らしか地方暮らしか、働いているのか無職か……単身者といってもいろいろなので、一概にいうことはできませんが、厳しい暮らしを強いられている単身者が多いことが伺えます。

 

【単身世帯「可処分所得」分布】

100万円未満:21.6%/15.1%/26.3%

100万~150万円未満:20.2%/18.2%/21.6%

150万~200万円未満:17.3%/15.8%/18.4%

200万~250万円未満:13.6%/13.6%/13.7%

250万~300万円未満:8.2%/9.3%/7.3%

300万~400万円未満:7.7%/12.0%/4.5%

400万~500万円未満:4.4%/6.0%/3.3%

500万~600万円未満:2.8%/3.3%/2.5%

600万円以上:4.4%/6.5%/2.7%

 

出所:厚生労働省『令和3年国民生活基礎調査』より算出

 

そんな生活困窮者のなかでも問題視されている人たちのひとりが、前出の50代の氷河期世代の人たち。なかでも正社員になるタイミングを逃し、いまなお非正社員でいる人たちは悲惨といえる状況です。

 

正社員と非正社員の賃金カーブを厚生労働省『令和3年度賃金構造基本統計調査』でみていくと、男性の場合、年齢と共に給与は上昇し、50代で平均月40万円を超えます。家族がいれば、教育費に住居費にと何かと支出が増えますが、その分、給与が増えるので耐えることができます。逆をいえば、正社員であれば結婚し、家族が増えてもやっていけるということ。

 

一方で非正社員は給与の上昇は非常に緩やか。ピーク時も月27万円と正社員とは15万円程度の差が生じています。これでは結婚して家族が増えて……そんな未来は描くことができず、“おひとり様”が増えても当然でしょう(図表)。

 

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より
出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より