国民年金は月々1.6万円ほどの保険料ですが、収入が低い身としては、その負担は決して軽くはありません。特に学生であれば、死活問題という場合も。そこで利用したいのが「学生納付特例制度」ですが、勘違いしている人が多い制度でもあります。みていきましょう。
年金月17万円のはずが…「学生納付特例制度」を利用した会社員、知らずに犯した大失敗 (※写真はイメージです/PIXTA)

お金がなくて保険料が払えません…苦学生なら利用したい年金制度

日本国内に住むすべての人は、20歳になると国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務付けられています。2022年度、1カ月当たりの保険料は1万6,590円。金融機関やコンビニ、ネットなどを通じて納めることができます。口座振替を利用すれば納め忘れはありませんし、手数料もかかりません。現金払いで、1年度分を前納すると年間3,530円、2年度分の前納なら1万4,540円の割引となるので、一考しておきたいところ(2022年度)。

 

国民年金(老齢基礎年金)をもらうためには、60歳までに保険料を10年以上納めていることが条件。10年以上というのは、保険料が免除されている期間も含まれます。ちなみに厚生年金(老齢厚生年金)は、国民年金の受給要件を満たしたうえで、1ヵ月以上の加入期間分からもらうことができます。

 

2022年度、国民年金の満額支給額は78万0,900円、月額6万5,075円です。支給額は、過去、何度も見直され、最も多かったのは1999年4月からの4年間で、年間80万4,200円でした。2万円ほど減額となっていますが、現行の金額で計算すると、40年で800万円近い保険料を支払い、10年ほどで同等の年金額、それ以上受給できればプラスになるのですから、効率のいい投資という見方もできるかもしれません。

 

とはいえ、収入が低い人たちには月1.6万円程度の保険料は結構な負担。特に学生にとっては大きなものです。そこで利用したいのが保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」です。年度の前年の所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等(2022年度)」の学生が対象。所得基準は申請者本人のみで、家族の所得は関係ありません。

 

もし20歳になってから大学を卒業するまで3年あったとすれば、年間60万円近い保険料を払うことになります。実家から仕送りをしてもらいつつ、アルバイトをして学費を稼ぎ、奨学金も利用している……そんな学生にとってありがたい制度といえるでしょう。