依然として好調に推移する不動産価格。それを牽引しているのがタワーマンションです。その魅力はなんといっても資産価値。「購入価格よりも高く売却できた!」という声は多く、人気を押し上げています。しかし、資産価値を大きく下げることになるかもしれない、不穏な予想も……みていきましょう。
日本を買いあさる外国人…爆買いの先にみえる「タワマン大暴落」という悲劇的な末路 (※写真はイメージです/PIXTA)

好調をキープする日本の不動産…原動力になっているのは?

不動産経済研究所が先月発表した首都圏の8月の新築マンション1戸当たりの平均価格は6,102万円。前年同月比18.1%減で、2ヵ月連続の下落となりました。新規供給が減少したことが要因で、下降局面に入ったわけではなく、高額物件の供給が予定されている秋以降、昨年並み〜上回る可能性があるとしています。

 

長期的な視点で不動産価格についてみていきましょう。国土交通省が公表している『不動産価格指数』によると、不動産価格は全国的に上り調子。東京が牽引している印象ですが、マンション(区分所有)に限ると、不動産全体の指数を大きく超え、また全国平均は東京をも上回っています(図表1)

 

出所:厚生労働省『不動産価格指数』より
【図表1】不動産価格指数の推移 出所:厚生労働省『不動産価格指数』より

 

また公益財団法人東日本不動産流通機構『首都圏不動産流通市場の動向』で首都圏中古マンション価格の推移をみていくと、バブル崩壊以降の90年代は下降の一途を辿りましたが、2002年を底に上昇。リーマンショック~東日本大震災のあたりで鈍化、下降するものの、近年は上昇の一途を辿り、バブル期超えとなっています(図表2)

 

出所:公益財団法人東日本不動産流通機構『首都圏不動産流通市場の動向』より ※数値は成約した中古マンションの平均価格、単位は万円
【図表2】首都圏中古マンション価格の推移 出所:公益財団法人東日本不動産流通機構『首都圏不動産流通市場の動向』より
※数値は成約した中古マンションの平均価格、単位は万円

 

このように上昇の一途を辿る不動産価格。特にマンション価格は、新築、中古問わず、好調に推移しています。牽引しているのは、タワーマンション。いわゆるタワマンです。

 

2000年代、規制緩和により、東京都心を中心に建築ラッシュに。その流れは郊外へと波及し、駅前の再開発とセットに語られることが多くなりました。それにより、タワマンとは無縁だと思われていた、たとえば東京・下町エリアにもタワマン群が出現することも珍しくありません。

 

都心を中心に増えていたころは、タワマンの購入者といえば富裕層でしたが、郊外にも次々と出現すると、一般層、特にパワーカップルと呼ばれる共働き&高収入夫婦が主要な購入者層として知られるように。

 

もともと東京の不動産価格は、上海やニューヨークなど、世界の大都市に比べてかなりの割安で知られ、海外投資家から注目をされていました。ここにきて昨今の急激な円安により、外国人投資家が一挙日本へ。特に値上がりが見込まれるタワマンを中心に買いあさっているといいます。

 

これからマンションを購入する人からすると、さらなる価格の上昇につながるので、「ちょっとやめてほしい」などと思うかもしれません。ただ購入後の資産価値上昇にもつながるので、歓迎すべき流れともいえるでしょう。