3年ぶりに平均給与増加……そのようなニュースが流れる一方で、生活が上向きになっている感は乏しく、実態とはずいぶんとかけ離れているという指摘も。日本人のリアルな現状について考えてみましょう。
平均給与「443万円」でもさらに厳しい…半数以上が生活苦を訴える、日本人の断末魔 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本人の平均給与「3年ぶりの増加&コロナ禍から回復」といわれるが…

国税庁『令和3年分民間給与実態統計調査』の結果が発表され、2021年、民間企業で働く人の平均給与は443万3,000円で、3年ぶりに増加に転じたことが分かりました。さらに正社員に限定すると508万4,000円、非正社員に限定すると197万6,000円。あらゆる切り口でみてみても、前年比プラスを記録し、コロナ禍からの回復が鮮明となりました。

 

ただしこれは給与所得の平均値。さまざまな所得を含めた「日本人の所得」について、国税庁調査とは1年のズレがあり、あくまでも参考値ではありますが、厚生労働省『2021年国民生活基礎調査』をみていきましょう。

 

2020年、1世帯当たりの平均所得金額は564万3,000円。高齢者世帯に限ると平均332万9,000円、高齢者世帯を含めない場合では、平均685万9,000円。さらに18歳未満の子どもがいる子育て世帯では、平均813万5,000円でした。

 

さらにその分布をみていくと、ちょうど真ん中の“中央値”は440万円。月36万~37万円が、日本の世帯の月よくある家計予算といったところでしょうか。手取りにすると、月28万円程度になります。

 

得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「300~400万円未満」が13.4%、「200~300万円未満」が13.3%、「100~200万円未満」が13.1%と、所得300万円未満の世帯の盛り上がりが大きく、平均所得金額以下の世帯は61.5%と、3世帯に2世帯の割合になっています(図表)。

 

出所:厚生労働省『2021年国民生活基礎調査』より
【図表】 出所:厚生労働省『2021年国民生活基礎調査』より

 

所得300万円といったら、単純計算、月収は25万円。手取りにすると20万円ほどです。単身世帯であれば、ある程度、悠々自適に暮らしていける水準かもしれません。ただ子どもがいたり、年金暮らしの高齢者がいたりすると、そんな余裕はないでしょうか。

 

コロナ禍からの回復が鮮明になどと報じられていますが、「年収443万円!? そんなにもらってない!」という声がネットを中心にあふれています。平均値以下が6割強なわけですから、当然のことです。