給与から天引きされる年金保険料。納めた以上に年金を手にしたいとは、誰もが思うところ。しかし年金を手にする前に天命を全うする人もいて、誰もが年金を手にできるわけではありません。納めた保険料は無駄になるのでしょうか。みていきましょう。
会社員、年金をもらう「65歳より前」に無念の死亡…納めた「年金保険料」はどうなる? (※写真はイメージです/PIXTA)

「納めた保険料<年金受取額」のボーダーライン

毎月、給与から天引きされる税金や保険料。会社員であれば、給与から求められる標準報酬月額に応じて保険料が決められ、給与から引かれることになります。保険料さえ納めていれば、基本的に65歳になったときに、国民年金に厚生年金を上乗せした年金を手にすることができます。

 

天引きされる厚生年金保険料は「毎月の給与(標準報酬月額)×保険料率」「賞与(標準賞与額)×保険料率」で計算され、現行、保険料率は18.3%に固定されています。

 

仮に大学卒業から60歳の定年まで、各年齢の平均的な給与をもらい続けていたとしたら、納付する保険料は総額1,600万円ほどになる計算です。その保険料に対して、手にできる年金は、国民年金と厚生年金と合わせて、月16万5,000円ほど。そこから逆算すると、65歳から年金受給を開始した場合、73歳を超えれば、「納めた保険料以上の年金を手にできる」ということになります。

 

一方で誰もが73歳まで生きることができるかといえば、そうではありません。厚生労働省『第23回生命表(完全生命表)』によると、73歳時点の生存率は、男性で79.6%、女性で90.1%。単純計算、日本のサラリーマンの5人に1人は、納めた保険料以下の年金しか手にできなかった、ということになります。

 

ちなみに「人生100年時代」といわれていますが、100歳まで生きられるのは、男性で2.1%、女性で11.0%。女性の長寿が光ります。

 

あくまでも確率の問題ではありますが、多くの人が納めた保険料以上の年金を手にできることが分かりました。そもそも日本の年金制度は積立制度ではなく、現役世代から年金受取世代へ仕送りしているような賦課方式。だから「損をする」という考え自体ナンセンスという人もいます。

 

とはいえ、毎月天引きされている額をみてため息をこぼす身としては、「元はとりたい」と考えることは当然だといえるでしょう。