(※写真はイメージです/PIXTA)

首や肩のこり・痛みは、決して珍しい症状ではありません。しかし、原因が頸椎症(けいついしょう)の場合、放置すると「歩行困難」や「排尿障害」、最悪の場合「寝たきり」になるリスクもあると、横浜町田関節脊椎病院の越宗幸一郎院長はいいます。いったいどのような初期症状に気をつければいいのか、またどうすれば予防・改善できるのでしょうか。越宗院長が詳しく解説します。

トラブルを発症しやすい「脊椎」

人間の体のなかで、非常に広い部分を占める脊椎。首からお尻のあたりまで続く骨のことを脊椎といい、長さは約40cmにもおよびます。

 

人間が活動をするうえで重要な働きをする脊椎は、多くのトラブルを抱えやすい部位でもあります。今回は脊椎で起きるトラブルのなかでも、特に40〜50代の男性に発生しやすい「頸椎症」のトラブルに焦点を当ててみます。

 

脊椎は椎骨と呼ばれる骨が連結しており、首(頸椎)7個、胸(胸椎)12個、腰(腰椎)5個、それから仙骨(仙椎)、尾骨で構成されています。

 

[図表1]「椎骨」が連結して構成される脊椎
[図表1]「椎骨」が連結して構成される脊椎


脊椎は、「体を支える柱」「体を動かす」「内臓を保護する」「神経を保護する」という、4つの重要な役割を担っています。そのため、脊椎にトラブルが起きると日常生活に支障が出ることも少なくありません。

 

特に脊椎は神経とも深く関わっているため、脊椎のトラブルが神経にダメージを与えてしまうと、手足のしびれや麻痺などの症状が現れ、歩行困難に陥る可能性もあるのです。

 

その肩こり、「頸椎症」かも

脊椎のなかでも特にトラブルを起こしやすいのは、首と腰です。なかでも首は肩こりや首のこりを引き起こし、多くの人を悩ませています。

 

[図表2]のように、日常生活でトラブルを抱えている場合は注意が必要です。

 

[図表2]「頚椎症」の初期症状例
[図表2]「頚椎症」の初期症状例

 

これらは、頸椎症の代表的な初期症状です。頸椎症とは、首の骨や椎間板が長い年月をかけて少しずつ変形し、神経を圧迫する病気です。神経の圧迫により、首や肩周辺に痛みやしびれ、麻痺などが生じます。

 

日常的な肩の痛みや肩甲骨の痛みは「肩こりのせい」と片づけてしまいがちですが、実はその原因は首周辺にあることが多いのです。

 

そのため、肩のマッサージや湿布を張るだけでは根本的な痛みを取ることはできません。

 

頸椎症の症状がひどくなると、首や肩だけでなく、腕にまで痛みやしびれが出るケースも珍しくありません。さらに症状が悪化すると、指先が麻痺して細かな作業(ボタンをとめる、グーパーをするなど)や、普通に歩行することすら難しくなることもあります。

 

ここまでの症状が出ている場合は、すでに神経にまで影響がおよんでいる証拠。早急に治療が必要です。

 

「頚椎症」チェックテスト

試しに、次に示す2つのテストを行ってみてください。

 

これらはもともと交通事故のあと、むちうちなどの度合いを調べるのによく用いられるテストです。それをひとりでもできるよう、簡易版にアレンジしました。

 

1.首を左右に傾けます。片手で頭部を押すと、上腕、前腕、手などに痛みやしびれがありますか?
2.頭を後ろに傾けます。片手で頭部を押すと、上腕、前腕、手などに痛みやしびれがありますか?

 

もしこれらを行って、上腕の外側に痛みがある場合は「第5頚髄神経」に、首から上腕前腕に痛みがある場合は「第6頚髄神経」に障害が出ていると考えられます。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。