食費に、洋服にと思いのままにお金を使い、25歳までは貯蓄ゼロだったBさん。ささいなことをきっかけに、株やFX、不動産などへの投資はおこなわず、10年間で驚きの貯蓄額を実現します。今回、社会福祉士兼FPの武田拓也氏がひとりの男性の事例をもとに、資産形成のために重要なポイントを解説します。
手取り32万円・35歳の会社員…「貯蓄ゼロ生活」から10年、運用なしで実現した「驚愕の貯蓄額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

貯蓄ゼロではプロポーズできない…覚悟を決めたBさん

会社員のBさん。彼には貯蓄をする習慣がなく、口座にお金があると居酒屋へ行ったり、オシャレな服を買ったりしてつい使い切ってしまいます。住まいは不動産会社の担当者に勧められるがまま、都内の新築ワンルームを契約して住んでいました。新築の住み心地は快適で、さらにいい家具を買いそろえようとボーナスは消えていきました。

 

このように、欲しいものがあればお金があるだけ買い物をしていたBさんは、25歳までは貯蓄がほとんどない状況でした。

 

[図表1]Bさんの月々の生活費内訳(25歳まで)
[図表1]Bさんの月々の生活費内訳(25歳まで)

 

転機になったのは、付き合っている彼女との結婚を意識するようになってからです。「貯蓄ゼロではとても彼女に婚約の話はできない」と考えるようになりました。

 

貯蓄のコツを調べるうちFP事務所の存在を知ったBさんは、早速相談へ。そこで一念発起したBさんはお金の使い方をイチから見直し、貯蓄のためのさまざまな方法を実行に移していきました。

 

まずBさんが意識したのは「食費」です。これまでなにも考えず買い物をしていましたが、スーパーのタイムセールや特価商品を狙って購入するようにしました。最初は情報を集めるのが面倒に感じましたが、続けていくうちに習慣化し、苦にならなくなりました。

 

次に、新築ワンルームから中古のワンルームに引っ越すことで、月々の家賃を4万円節約することに成功しました。

 

また、スマホはキャリアから格安SIMに切り替えることで料金が半額以下に。服もシーズンごとに新しいものを購入していましたが、「着まわし」を習慣化しました。

 

さらに、社会人になってすすめられるがまま加入していた生命保険も見直すことで、トータル「12.5万円」の支出削減を実現しました。収入は年齢とともに徐々に増えていましたので、昇給と家計の見直しによる節約で毎月の貯蓄額は「13.7万円」になりました。

 

[図表2]月々の生活費の内訳(26歳から)
[図表2]月々の生活費の内訳(26歳から)

 

やればできると自信がついたBさんは、4年間付き合っていた彼女にプロポーズ。29歳で結婚することができました。結婚後も生活水準は維持しつつ、奥さんの協力もあり貯蓄額は変わらず継続できていました。