淘汰された「金食い医師」
ところが、8月のお盆あたり、集団接種にも各自治体が慣れてきたころには、業務の能率はもちろん、技術や知識がない、前述の「フリーター風の医師たち」は淘汰されていった。その理由としては、各自治体が一定技量と知識がある医師を重宝するようになったからである。
各種法人への業務委託料や人材紹介会社への紹介手数料も発生しなくなり、本来あるべき医師への報酬が確保されるようになった。9月以降、医師の報酬額は時給10,000円程度となり、2022年の春には少し上昇したが、その後バブルを彷彿する価格上昇はみられなかった。
また、オミクロン株の流行により感染者数が爆発的に増加したために医療現場がひっ迫し、医療スタッフも新型コロナウイルスに感染するなどし安全な診療維持が困難となったことから相対的にワクチンに関するアルバイト案件の相場も低下している。
前述の「フリーター風医師」はいま、以前のような健診案件を奪い合っている。 そういった意味では、この件における本当の勝者は、フリーター風医師でも、中抜き業者や人材紹介会社でもなく、名実ともに信頼できる知識・技術・経験に裏打ちされた医療のみなさんであろう。
武井 智昭
高座渋谷つばさクリニック 院長
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