平均寿命が延びるなか、どのように老後を充実させるか、自身の最期をどうするか……考える人が増えています。そこで有力な選択肢に挙げられるのが「老人ホーム」への入居。用意周到に準備をし、自身にぴったりのホームに入居する人が多いなか、思わぬ事態に直面する人も。みていきましょう。
年金夫婦で「月23万円」だが…「老人ホーム請求額」に撃沈する、まさかの大誤算 (※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホームの費用捻出のために「自宅を売却」気を付けるべきは?

介護施設への入居年数は、平均4年ほどといわれています。もちろん介護の度合いにもよりますし、絶対的なことはいえませんが、仮に平均で考えるなら、一時入居金を除き、夫婦で1,000万円程度は施設の入居を見据えて貯蓄をしておきたいものです。

 

どのようにそんなに大金を用意するのか……方法のひとつが自宅の売却です。65歳以上の持ち家率は9割近くにもなり、老人ホームの費用の捻出のために自宅を売却するというのは、有力な選択肢のひとつ。特に子どもが2人以上いる場合、相続が発生した際にどのように分割するか、揉め事の火種になりがちです。しかし揉める原因がなければ、そんな争いさえ起きようもありません。そのため、老人ホームへの入居を理由に、積極的に自宅の売却を進めるケースも珍しくないのです。

 

そんな老人ホームの入居を巡り、「老人ホームの費用が払えなくなる」というトラブルのほか、「退所したいけど退所できない」というトラブルが頻発しています。

 

費用が払えなくなる理由のひとつが、「自宅の売却がうまく進まない」といったケース。売れたにしても想定をだいぶ下回り、老人ホームからの請求額を払えなくなる、といったことが多発しているとか。これは甘い想定が原因。厳しい売却価格を前提にしていれば、このようなトラブルは防ぐことができるでしょう。

 

また老人ホームは見学を重ねて検討しても、実際の住み心地は暮らしてみなければ分からないもの。「ちょっと違うな……」と退所を希望しても、すでに自宅を売却したあとでは退所後に住むところがなく、退所しにくくなる、といいます。一概にはいえませんが、「ここっ!」という施設が見つかってから自宅の売却は進めるのが、トラブル防止のための正攻法といえそうです。