年金月20万円手にするためには年収いくらであればいいのか?
総務省『家計調査』によると、高齢者夫婦のみの世帯の平均支出は26万円ほど。そこから逆算すると、前出の夫婦の場合、月々2万5,000円、年間で30万円ほど貯蓄を取り崩して生活することを余儀なくされます。
これはあくまでも平均値の組み合わせによるもの。厚生年金は現役時代の給与によって受給額は変わりますし、支出額もそれぞれ。持ち家に住んでいるか、賃貸なのか、住んでいる地域はどこなのか……一人ひとり事情は異なるので、一概に「老後XX円不足する」とはいえませんが、どうも平均的な老後を考えるならば、年金だけではどうも足りなさそうです。
一方で平均値で考えるならば、月夫婦で26万円以上の年金を手にできれば、「年金だけで老後暮らすことができる」ということになります。前出のように会社員と専業主婦、という組み合わせであれば、会社員は月20万円の年金を手にできたらいい、ということになります。
年金月に20万円を手にできる元会社員。前出の厚生労働省の調査によると、厚生年金受給者のおよそ16.5%が月20万円以上の年金を手にしています。
そんな「高年金」の元会社員。現役時代はどれほどの給与を手にしていたのでしょうか。前出の計算式の「加入期間2003年4月以降」で考えてみます。
公的年金を月20万円を手にするとすると、国民年金+厚生年金で年額で240万円を手にする、ということになります。国民年金部分は77万7800円ですから、厚生年金部分は162万2,200円となります。そうなると、「平均標準報酬額」は66万円となりますが、標準報酬月額の上限は65万円。標準報酬月額65万円の場合、標準月額は63万5000円~66万5000円となるので、年収は「約762万円」ということになります。
年収762万円……意外にクリアできそうと思った人も多いのでは。しかしこれは、40年間年収が一定だった場合の話。40年間、平均して年762万円、生涯給与3億0,480円を手にした場合、ということになります。厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』から算出した推定生涯給与は、仮に年金受給が開始される65歳直前まで会社員を続けたとして、2億5,785万円(大卒・男性)。年金20万円を手にすることがいかにハードルの高いことか分かったでしょう。
あくまでも今回、現行の制度の計算式で考えたものなので、実際に年金20万円強を手にしている人と事情は異なるでしょう。ただいかに「年金だけで老後暮らす」ということがハードルが高く、「勝ち組」だけが実現できることかが分かったでしょう。自身を平均的……と考えるのであれば、やはり地道に資産形成に勤しむしか方法はないようです。