すべての公務員が「安定」しているわけではない
——やっぱり公務員は羨ましい
そんな声が聞こえてきそうですが、当事者からは「とんでもない」という声も聞こえてきます。
日本自治体労働組合総連合(自治労連)が全国の地方自治体で働く1万4,000の非正規公務員にアンケートしたところ、59.3%が「年収200万円未満」と回答しました。手当を考えなければ、月16万~17万円といったところ。アンケート回答者の8割強が女性を占め、職種は事務や保育士、放課後児童支援員などだったとか。また家計を支える生計維持者でもその半数が年収200万円未満と回答したといいます。ライフスタイルによりますが、十分暮らしてける水準かといえば疑問符。そこには「公務員=高給で安定」というイメージはまったくありません。
非正規の公務員については、2020年4月に「会計年度任用職員」が導入されました。これは地方公務員法第22条の2の規定に基づき任用される非常勤職員。これまでの臨時的任用職員や非常勤の特別職員より福利厚生等が拡充される一方で、服務規律が適用され、懲戒処分等の対象にもなりうる立場です。
福利厚生の拡充など、良いことのように思えますが、採用が1年ごとに厳格化されたことで、雇用の不安定さが増した、という声が多く上がっています。そこには「公務員=雇用が安定」というイメージはゼロです。
正規雇用と非正規雇用における格差問題は色々と議論されていますが、「公務員」においても深刻な問題とされていて、「官製ワーキングプア」という言葉があるほど。行政サービスは、私たちの生活を支えてくれるもの。その質が担保されるよう、非正規公務員の待遇改善が望まれています。