(※写真はイメージです/PIXTA)

血圧が低下し短時間意識を失う「失神」。驚くことに日本人のおよそ5人に1人が、人生で1度は失神を経験するとされています。その原因と対処法について、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長が解説します。

原因によって異なる「失神の種類」

朝礼の最中に倒れる…“ストレス”に起因する「神経反射性失神」

「失神」とひとくちにいっても、人によって原因が異なります。なかには、治療が必要な疾患が原因で失神が起きていることもありますから、まずは原因を追求することが必要です。

 

失神の原因として1番多いのは、「神経反射性失神」です。よく学生が朝礼のとき、校長先生の長い話を聞いている最中に倒れることがありますよね。これは「血管迷走神経性反射」といって、典型的な神経反射性失神の症状です。

 

神経反射性失神は通常、なにかに対する「ストレス」に起因します。痛みや疲れ、緊張などのストレスがあると交感神経が非常に緊張し、副交感神経が交感神経を抑制しようとして、一気に亢進します。すると吐き気や蒼白、発汗、あくび、便意などの前駆症状が現れ、その後失神が起こります。

 

失神を起こす直前、人によっては「目の前が暗くなる」などの自覚があり、しゃがみこむ場合もありますが、なかにはなんの自覚もなく、突然倒れてしまう人もいます。副交感神経が亢進すると、急激に血圧低下あるいは心停止(徐脈)の状態になるためです。そのように急激な変化が起きる場合は、自覚もないまま突然失神する状態になります。

 

それから神経反射性失神のなかには、「状況性失神」というものもあります。これは排尿、排便、飲食、咳に誘発される失神のことで、特に多いのは飲食です。食事をしたあと「食後性低血圧」といって、食後5〜10分で意識を失ってしまう人は少なくありません。

 

また、咳をしたあとに突然白目をむいて失神してしまう人もいますし、排便や排尿のあとに立ち上がった瞬間失神する人もいます。

 

排尿、排便、飲食、咳というこれらの行為はみな、副交感神経が緊張するものです。そのため、これらの行為のあとに血圧が下がって失神を起こしてしまうのです。

 

立ちくらみに代表される「起立性失神」

「起立性失神」も「神経反射性失神」同様、頻度の高い失神です。細かく分けると次の2つがあります。

 

①「即時性起立性低血圧」……座位から急に立ちあがったときに発症。10〜20秒程度で完全に治まる。いわゆる「立ちくらみ」
②「遅発性起立性低血圧」……起立後しばらくして(通常1分〜数分で)発症

 

この2つのうち、怖いのは②の「遅発性起立性低血圧」です。起立後しばらくしてから失神するため、本人としては転倒の危険から身を守る準備ができていませんから、転倒する場所によっては怪我などの事故を伴うこともあります。

 

この遅発性起立性低血圧は一般にあまり認知されていない症状のため、見逃されてしまうこともあります。特に高齢者の方はご注意ください。

 

とりわけ水分摂取量が不足しているときや利尿剤を使用しているとき、特定の胃腸障害に伴う脱水が起きているときには、こうした遅発性起立性失神が起きる可能性があります。立ち上がってからしばらく時間が経過し、「立ちくらみが起きないから、もう大丈夫」と油断しないようにしましょう。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。