長く住むほどランニングコストが高くなる、タワマンの不思議
適正な月返済額で億超えのタワマンが実現できるパワーカップル。しかし「想定以上にタワマン暮らしは金銭面で大変」という声が聞こえてきます。そこにあるのは、タワマンならではのランニングコストです。
分譲マンションの場合、月々のランニングコストとして通常、管理費と修繕積立金がかかります。
管理費には共用のエントランスや廊下などの清掃費、共用部の光熱費、エレベーターや自動ドアなどのメンテナンス費などが含まれ、主にマンションの共用部の管理に使われる費用です。タワマンの場合、ゲストルームやラウンジ、フィットネスジムなど、通常の分譲マンションにはない設備を売りにしているところが多く、その分管理費も高くなりがち。国土交通省『平成30年度マンション総合調査』によると、タワーマンションの平均管理費は月1万5,726円。通常の分譲マンションの1.4倍となっています。
そしてマンションの建物部分や設備などの修繕費を賄うために毎月徴収される修繕積立金。通常10~15年に1度、大規模修繕が実施され、一般的なマンションでは1戸あたり75万~100万円が相場。しかしタワーマンションの場合はその1.5~2倍程度が必要になるとされています。前出の国土交通省の調査によると、タワーマンションの平均積立修繕金は月1万2,305円でした。
さらに修繕積立金、タワマンの場合「値上げ」は避けられないとされています。新宿区『タワーマンション実態調査報告 書』によると、過半数のタワマンで「修繕積立金が足りていない」と回答。また6割のタワマンで「修繕積立金の値上げを行った」としています。その値上げ幅は、「20%以下」が27.3%、「21~50%」「50%以上」が36.4%と、5割以上の大幅値上げも現実的なのです。
じわりじわりと増えていくタワマンのランニングコスト。それでも修繕費が足りずに、不具合があるまま放置されるといったタワマンも見られるとか。そうなると、タワマンの魅力のひとつでもある資産性についても影響が出てきます。「タワマンは一生住むところではない」といった意見も聞こえてきますが、住んでみないと分からない誤算が関係しているようです。