いまや転職は当たり前。そうはいうものの、二の足を踏んでいる人も多いでしょう。周囲には転職を繰り返し、華麗なキャリアを築いているのに、自分ときたら……。転職に踏み切れる人、転職に踏み切れない人、そこにどのような違いがあるのでしょうか。みていきましょう。
平均給与490万円…「給与が上がる人」と「給与が上がらない人」の決定的な差 (※写真はイメージです/PIXTA)

なぜ会社を辞めたのか?転職者の実情

先日、厚生労働省が公表した『令和4年版 労働経済の分析(労働経済白書)』で、まずは転職者の実態を確認していきましょう。

 

正規雇用について、転職経験者は男性で51.2%、女性で61.2%。就業経験年数でみていくと、「5年未満」では男性15.3%、女性15.1%と、男女差はほとんどないものの、以降は女性のほうが男性よりも転職経験者の割合は高い傾向にあります。

 

出所:厚生労働省『令和4年版 労働経済の分析(労働経済白書)』より
【図表1】正規雇用労働者/就業経験年数別「転職経験者」の割合 出所:厚生労働省『令和4年版 労働経済の分析(労働経済白書)』より

 

各年齢における初職の企業規模別にみた転職経験者の割合をみていくと、どの年齢でも初職の規模が大きいほど転職経験者の割合は少ない傾向にあります。特に若年層においてはそれが顕著で、「25~34歳」では「従業員1,000人以上企業」において転職経験者は43.3%と過半数に達していません。しかし、就業経験を重ねるにつれて、初職の企業規模の影響は徐々に薄れていく傾向にあります。

 

出所:厚生労働省『令和4年版 労働経済の分析(労働経済白書)』より
【図表2】年齢別/初職の企業規模別「転職経験者」の割合 出所:厚生労働省『令和4年版 労働経済の分析(労働経済白書)』より

 

初めて勤めた会社が大企業なら、給与も環境も文句なし、転職する理由が見当たらない……そういう人が多いからでしょう。しかし、長く勤めていくなかで転職の道を模索し始める、そこにはどのような理由があるのでしょうか。転職者に「現在の勤め先を選んだ理由」を尋ねたところ、若年層では「賃金以外の労働条件」を理由にする割合が高いですが、年齢が上がるにつれて減少。それに代わり多くなるのが「自分の技能・能力が活かせるから」の割合が増えていきます。

 

【現在の勤め先を選んだ理由「賃金以外の労働条件が良いから」の割合】

25~34歳:15.8%

35~44歳:12.5%

45~54歳:10.8%

55~64歳:6.3%

 

【現在の勤め先を選んだ理由「自分の技能・能力が活かせるから」の割合】

25~34歳:13.9%

35~44歳:24.3%

45~54歳:23.1%

55~64歳:33.8%

 

出所:厚生労働省『令和4年版 労働経済の分析(労働経済白書)』より

※数値は男性転職者

 

社会人として経験を積み、成熟を迎えた結果、新天地を求めて転職……転職者のそんなキャリアが見えてきました。しかし転職で気になるのは、やはり給与面。転職前後(正社員から正社員へと転職した男性会社員)の給与の変動について、「増加した」が36.4%、「変わらない」が23.9%、「減少した」が39.7%。3割強が給与アップも実現しています。