
転職を希望するも「転職できない人」に足りないもの
勤務先に不満があろうがなかろうが、キャリアを積むにつれて、「他で試してみたい」と考えるのは当然のこと。しかし実際に転職を希望しながらも、すべての人が実現できるとは限りません。転職希望者(男性)は就業者のうち35.1%。転職活動移行者は15.9%、2年以内転職者は17.6%。年齢別にみると、50代までは一貫して年齢共に減少する傾向にあります。一方、高年齢層で転職者の割合が上昇するのは、定年や退職勧奨といった、自己都合以外の理由により前職を退職する人が増えるためと考えられます。
さらに白書では転職希望者について、転職活動移行者となるかどうか、2年以内転職者となるかどうかのそれぞれを被説明変数とし、属性やキャリア見通しの状況、自己啓発の実施といった要因を説明変数として、重回帰分析を行っています。
その結果、男性転職希望者の場合、「子どもがいること」「正社員であること」のほか、役職が「係長・主任クラス」といった役職者である場合、転職が実現しにくい傾向にあります。一方で「キャリア見通しができている」「自己啓発を実施している」といった場合は、役職者であっても転職を実現しやすい傾向にありました。
もちろん「キャリアの見通し」と「自己啓発」によって転職しやすくなるという因果関係を必ずしも示すものではない、留意が必要としていますが、背中を少し押すものになっているだろうとしています。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、会社員(男女計、学歴計、企業規模10人以上)の想定年収は平均489万3,100円。賃金アップがなかなか見込めないなか、どのように給与を上げていくか、正攻法といえるのが、転職によるキャリアアップです。転職を実現するか、実現できないか。そこには、ほんの僅かな差しかありません。