正社員の下位10%が受け取れる、将来の年金は?
2022年4月分以降、国民年金は満額で6万4,816円。また厚生年金は平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準として、21万9,593円としています。
実際にどれほどの年金を手にしているのかというと、国民年金受給者は平均月5万6,358円、厚生年金受給者は平均月14万6,145円(厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』より)。厚生年金ついて男女別にみると、65歳以上男性で17万0,391円、65歳以上女性で10万9,205円です。
仮に50代前半で588万円を手にしている会社員が、この先も同様の給与水準をキープできたとしたら、65歳から受け取れる年金額は、国民年金と厚生年金の合算で月14万5,000円ほどになります。
しかしこれは平均値から算出したもの。前出の調査によると、50代前半正社員の下位10%の推定年収は318万円ほど。そこから将来の年金額を計算すると、月10万8,000円ほどになります。そこから税金も引かれ……少々、老後に不安を覚える年金額です。
総務省『家計調査』(2021年)によると、高齢夫婦の平均支出は実支出は月26万0,094円。年金月10万円ほどの元会社員の夫と専業主婦の妻という夫婦が平均的な暮らしをするとなると、月10万円ほどの赤字になります。1年で120万円。30年間老後生活が続くと仮定すると、3,600万円の赤字となり、その分は貯蓄で賄わなければなりません。あくまでも調査を組み合わせた仮の話ではありますが、年金10万円では老後の困窮は目に見えています。
もし「ねんきん定期便」であまりに少ない年金見込み額に驚いたのなら、「年金を増やす」というのもひとつの手です。たとえば厚生年金。70歳まで加入し続けることができるので、会社員を続ければその分受給額を増やすことができます。
また現在、年金の受給は65歳からですが、繰り下げ受給により毎月の受取額を増やすことも。国民年金は任意加入により60歳以降も保険料を納付したり、追納したりして、満額受給を目指すこともできます。
さまざまな制度を駆使すれば、わずかでも毎月の受給額を増やすことも可能。50代で低年金が見えていたとしても、諦めるのはまだ早いといえるのです。