将来の「年金額」に首を傾げてしまうワケ
毎年1回、誕生月に届く「ねんきん定期便」。保険料の納付実績や将来の年金受給額の見込みなどが記載されていますが、そこで「えっ、年金ってこんなに少ないんだ」と首を傾げたり、驚いたりする人は多いようです。
そもそも「ねんきん定期便」、2000年代後半に問題視された、いわゆる「消えた年金問題」を機にスタートしたもの。通常は直近の約1年の年金の加入期間や保険料の納付記録が記載され、節目の年齢には全期間の記録が通知されます。
また50歳未満ではこれまでの加入実績に基づいた年金額が記されていて、今後の予想は含みません。そのため「年金が少ない!」と勘違いする人も多いとか。50歳以降になると、現在と同じ給与水準で60歳まで働いたと仮定した見込み額が記載されるようになります。それでも見込み額をみて首を傾げる人は多いようです。50代で給与水準がピークに達していることが、疑問に思う理由のひとつ。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、会社員(男女計、学歴計)の推定年収は平均489万円。20代前半では300万円強だった給与は、年齢と共に上昇し、50代前半で588万円とピークに達します。50代後半では役職定年を迎える人もいるからか、若干減少するものの平均580万円。
【年齢別「推定年収」の推移】
~19歳:2,538,800 円
20~24歳:3,200,900 円
25~29歳:3,969,700 円
30~34歳:4,487,600 円
35~39歳:4,975,800 円
40~44歳:5,323,700 円
45~49歳:5,552,900 円
50~54歳:5,887,100 円
55~59歳:5,807,500 円
60~64歳:4,356,100 円
出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』から算出
※数値は男女計、学歴計、企業規模計10人以上
50代になり、給与のピークを迎えているなか、将来の年金額を見ると「あれっ⁉」と違和感を覚えてしまうわけです。厚生年金部分は若い時の給与が少なかったときも反映されるため、年齢と共に大きく給与が上がった人ほど期待とのギャップは大きくなるのかもしれません。