子どもの課題や特性はみんな違う
「発達」とは一体どのようなものでしょうか。
成長の段階で、子どもには超えるべき「ハードル」が次々と現れてきます。子どもはそれらを1つひとつ飛び越えながら成長していきます。
国が設定した一般的な教育カリキュラムとは、成長段階に応じてハードルの順番や高さなどを想定しています。そして、3才ならこれくらい、1年生になったらこれくらいの課題があるとして、「こういう方法で飛び越えさせましょう」と決めています。
ところがグレーゾーンの子どもの場合、そのハードル、つまり課題が出てくる順番や高さが違うだけなのです。このハードルを「洋服のサイズ」にたとえることもできるでしょう。市販されている洋服は、「O歳ならOcm位」とする目安に基づいて作られています。ただし、それはあくまでも平均であって、すべての子どもにぴったり合うわけではありません。
グレーゾーンの子どもは、一般的なサイズに照らしてみると袖が長すぎたり、丈が長すぎたりするだけのことです。ですから体に合わせて調整する必要がある、そんなふうに考えるとよいでしょう。
サポートがないために二次トラブルになることも
現状の学校教育では、先生1人につき35人もの子どもをみていますし、中にはうまく飛び越えられない場合もあるでしょう。すると、「ああ、飛び越えられなかった」と自信を失ってしまうこともあります。
飛び越えるには無理な高さであったり、きちんとやり方を教えてもらえなければ、全員がすんなりと達成できるわけではありません。サポートがないからできないだけなのに、努力が足りないなどと批判されるのはおかしいのです。とくにグレーゾーンの場合は、そこから新たな精神的なダメージやトラブルにつながるなど、二次的な問題を抱えてしまうこともあり、それでは本末転倒です。
大切なのは子どもをよく観察すること
子どもが乗り越えるべき課題がみつかったら、子どもと一緒に考え、うまく達成できるようにサポートしていくことが大切です。
そこで大事なのは子どもをよく観察していくことです。
例えば食事中に立ち歩きをしてしまうなら、まずは客観的に事実を見極めましょう。どんな状況でそうなるのかをよく見て、対処法を考えていきます。そこで注意したいのは「できないことはダメだ」などと主観的な評価や判断を入れないことです。
また、最近多いのは、親のほうが食事中にスマホばかり見ていたりすることがあります。それはなるべく避け、子どもと向かい合う時間をきちんともつことも大切です。