日常の中でうまくコミュニケーションがとれなかったり、1つのことに妙にこだわったり……。グレーゾーンという単語を聞いたことがあるけれど、「うちの子はそれなのでは?」と不安になったことはあるでしょうか。発達障害のグレーゾーンとは一体どのような状態のことなのか、どうとらえたらよいかなど、臨床心理士の佐瀬りささんに、グレーゾーンの子どもとの向き合い方について伺いました。
うちの子、発達障害のグレーゾーン⁉ 臨床心理士が特徴と子どもへの接し方を詳しく解説

発達障害のグレーゾーンとは?

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メンタルヘルスの分野で使われる「グレーゾーン」とは、発達障害の特性と重なるものの、その基準にすべて当てはまるわけではないため、「発達障害とは診断されない」状態です。

 

発達障害は、生まれつきの脳の働き方によって起こるものとされています。人とのコミュニケーションがうまくとれず、強いこだわりや反復行動がみられる「自閉スペクトラム症(ASD)」、「注意欠如・多動症(ADHD)」、「学習障害(LD)」の3つに大きく分けられ、それぞれに診断基準があります。

 

発達障害と診断された場合は、医療機関や療育センターにかかって、しっかりと支援を受けることが必要です。しかし「グレーゾーン」と考えられるなら、それは病名ではありません。

 

たとえば、「なかなか人と目を合わせることはできないけれど、他のことはできている」などの場合、専門家の目からみると「発達障害ではない」と考えます。

 

ところが親の側は、「グレーゾーン」といわれただけで、「ほぼ発達障害」のようにとらえてしまうことがあり、そこに若干の温度差があります。我が子のことであれば不安に思うのも無理もありませんが、正しく知られていないのが実情です。

グレーゾーンといわれたら

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もし「グレーゾーンではないか」と言われたら、子どもの「何を」「どのように」判断してそう言ったのかを尋ねてみましょう。たとえば「多動症」の場合でも、ほかの子に比べてよく立ち歩くというだけで、グレーゾーンだと言われている場合もあります。

 

また、専門家の診断でグレーゾーンだといわれた場合でも、そこで必要な対応は人それぞれです。

 

グレーゾーンとは先にも述べた通り、正式な病名ではありません。ですから、診断名がついた子どもと、そうではない子どもは分けて考えることを勧めています。さらにいえば、発達障害、グレーゾーン、正常の3つに分けるものでもありません。

 

子どもの発達や特徴を色にたとえて、何の色もついていない「真っ白」の状態などはなく、何の特徴もない子どもなんて1人もいないのです。