2008年…“黒い慣例”が表沙汰に
ところが2008年、横浜市立大学医学の学位取得者から謝礼金計約580万円を受け取ったとして、教授ら20名が懲戒処分などを受けました。一部は刑事事件に発展し、やがて医学部を中心とした複数の大学で学位に関する金銭授受問題が明らかになりました。
この問題を受けて同年、文部科学省は学位審査の透明性・客観性・公平性を確保するよう、全国の国公私立大学に通知。
この通知が功を奏したのか、「学位取得指導の謝礼とはいえ、大学教授が高額の現金を受け取るのは常軌を逸している」という認識が広まったようです。
筆者も2011年ごろ、某大学で学位取得を検討した際に謝礼を相談したところ「それは昔の話。いまでは横領で逮捕されたり、懲戒解雇や民事訴訟に発展する」との返答を得ました。
このご時世では、教授の資金源である学位取得謝礼の慣習は途絶えたといえます。(巧みにスーツ仕立券などを要求した例も耳にしましたが……)
教授の「バイト」にも高額な報酬
金に目がくらんだ教授は、自分の医局が管理する近隣の医療機関(関連病院)のアルバイトに精力を注いでいました。
関連病院側の管理者の立場からは、「教授がお越しになっているから、今後医師を派遣してくださるかもしれない」と通常の非常勤医師の2倍~3倍の報酬を支払う医療機関もありました。
こうした医療機関ではタイムカード管理があいまいなことも多く、たとえその医療機関における診療が1名5分であったとしても、報酬が支払われました。
このため、約2,000万円の外車に乗って、距離が近い関連病院や医療機関を半日で3つほど回り、法外な報酬を得ていた方もおりました(半日で30~50万円になります)。ところが、やがてこの状態にも規制のメスが入ることになりました。
大学教員は週1回、「研究日」という名目で関連病院でのアルバイトが認められていましたが、大学教員の報酬や拘束時間透明化の機運が高まり、これまで不透明であったアルバイト先医療機関の拘束時間や報酬額を報告し、審議されることになりました。
莫大な報酬を得ていた教授は収入額が2~3割に低下し、太い収入源がまた1つ減ったということになります。
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