2022年上半期の首都圏新築マンション平均価格は、前年同時期から上昇……価格上昇をけん引しているのが、駅チカ・高価格帯のタワーマンションです。ただ、現在は高い人気を誇るタワマンですが、通常の住居にはない「タワマン特有のリスク」によって、数年後には「資産価値暴落」の悲劇が訪れるかもしれません。いったいそれはなぜなのか、みていきましょう。
もってあと数年か…タワマンの「資産価値大暴落」が避けられないワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

2020年代半ばから後半にかけて…待ち受ける「大規模修繕ラッシュ」

前述のとおり、1997年の建築基準法改正や、日影規制の緩和などを背景に、タワマンの建設が急増。首都圏では2003~2009年まで、年間50棟以上のタワマンが竣工していました。このように、タワマンは昔から一般的にあった建造物ではなく、生まれてから比較的年数が浅いため、修繕の技術が確立しているとは言い難いでしょう。

 

実はタワマンに限らず、新築マンションの長期修繕計画は、そこまで精度の高いものではありません。販売時の修繕計画は完成前の図面を元に計画が立てられたもので、実際のものとは誤差が生じてしまいます。

 

新宿区が2019年に区内タワマンを対象に行った調査によると、実に半数近いタワマンの管理組合が「修繕金が足りない」と回答。マンションによって異なるものの、おおむね15年に1度の修繕が推奨されているなか、十分な修繕が行えるかどうか不透明という物件が多い、というのが実態です。

 

また、タワマンとはいえ物件間の競争が激しいなか、新築時の修繕積立金を低く設定し、コスト的に有利に見せる販売手法は珍しくありません。これが結果的に「修繕金が足りない」という事態を引き起こしているのです。

 

なかには大規模修繕のための積立が足りず、40万円以上の一時金徴収が必要になった物件や、1回目の大規模修繕が終わった後、修繕積立金が大幅に値上げされ、これまでの22,000円が倍以上の50,000円となった物件もあるといいます。

 

さらに、タワマンといってイメージされるのが巨大な立体駐車場やスポーツジム、カフェ・バーなどの、充実した共用施設でしょう。一見魅力的なメリットに感じる人も多いでしょうが、それらは販売価格や維持管理費にしっかりと反映されています。駐車場はまだしも、スポーツジムやカフェ・バーなどは、自分にとって本当に必要か……もし購入を検討する場合には、一度冷静に判断する必要がありそうです。