「103万円の壁」「130万円の壁」の魅力…それよりも働きたい女性が増加
もうひとつ、「専業主婦の優遇」の根拠としてよく言われているのが、「103万円の壁」「130万円の壁」。
専業主婦の給与所得が103万円以下であれば、所得税はかからず、夫の給与収入が1,095万円以下であれば、夫は満額38万円の配偶者控除が受けられ、その分所得税が安くなります。また給与所得が130万円に満たなければ、妻は夫の扶養でいられます。
仮に103万~130万円の給与所得であれば、世帯年収が増えるメリットがある一方で、所得税がかかるというデメリットも。ただ夫の扶養でいられるので、自らが保険料を支払う必要はありません。
つまり100万円程度の給与所得であれば、扶養の範囲内で給与がそのまま収入となるというというわけです。このような魅力から「専業主婦は優遇されている」といわれるわけです。
しかし年収が基準を超えた途端に社会保険料の負担が急激に増えますし、年収103万円以下では家計の不足分をカバーできないケースが多いのも事実。また103万円の壁、130万円の壁が、女性の平均給与を押し下げている要因のひとつとする声も。
壁の魅力以上に働いたほうが家計は助かるとして、扶養の範囲内で働く人は減少傾向にあります。
いまから40年ほど前の1980年、専業主婦世帯は1,114万世帯に対して、共働き世帯は614万世帯でした。それが初めて逆転したのが1992年。専業主婦世帯903万世帯に対して、共働き世帯は914万世帯に。そして1997年以降は共働き世帯優勢が定着し、その差は拡大の一途。2021年には専業主婦世帯566万世帯に対して、共働き世帯は1,247万世帯になっています。
そのような流れをさらに加速させるとされているのが、厚生年金の適用拡大です。従業員501人以上の企業を対象に、週20時間以上30時間未満の短時間労働でも厚生年金の対象に。さらに024年10月からは従業員51人以上の企業へと拡大します。
今後ますます、「専業主婦」は減少するとされているのです。